EUヤバいね。

なんかもう意地になって突っ走っている感じで、批判されるほどに意固地になっているようにも見えるね。定向「進化」が始まったかな。
EUの財政緊縮策は方々の学者たちが批判しているのだけれども、それ以前に「ユーロはそもそも無理。」という声があるくらいなので、今の危機を根本的に見つめ直す機運が必要ではないかと思うのだが、どうも欧州の態度を見ていると自分たちの信条が間違っていたのではないか、根拠無い信仰に過ぎなかったのではないか、という苦い真実を避けるために頑なになっているのではないか、とも思う。
欧州が世界中を巻き込んで自滅の方向に向かうのは迷惑この上ないのだが、「日本だけが愚かじゃなかったのね( ´∀`)」という妙な安堵もあったりする。
でも欧州破裂で襲ってくる経済収縮は現実的で身近な痛みを我々に齎すわけで、そう呑気に構えてもいられないんだけどね。

EU財政協定 不況に追い打ち懸念も 東京新聞社説 2012年2月1日
 欧州連合(EU)が加盟国の財政規律を強化する新しい協定の締結で合意した。財政赤字の歯止めになる一方、財政運営を硬直化させ、結果的に不況を一段と加速する懸念もある。もろ刃の剣だ。
 EUには、これまでも各国の財政赤字国内総生産(GDP)の3%以内とする財政安定化協定があった。だが、実際には独仏などが違反しても容認されてきた。
 今回の新協定は財政赤字をGDPの0・5%以内と旧協定の基準より一段と厳しくしたうえ、憲法への明記など法整備も求めた。3%を超えた場合は自動的に制裁金を科す。
 協定には英国とチェコを除くEUの二十五カ国が合意した。三月の首脳会議で正式に決めた後、来年一月の発効を目指している。
 EUが各国の財政運営に厳しい枠を設けたのは、欧州債務・金融危機が深刻化したためだ。世界の金融市場は欧州の対応能力を疑問視しており、底なしの危機回避には欧州の団結と強い決意を示す必要に迫られていた。
 憲法のような最上位の法規範で財政赤字に限度を設ければ、どんな政権ができたとしても、かなりの制約になる。複数の国が加盟する集団協定なので相互監視も厳しい。一国が抜け駆けして財政を拡張するのは難しくなるだろう。
 一方で、協定は景気を自動的に調節する財政政策の基本的役割を損なう懸念もある。
 税収減となる不況時には政府が赤字財政で需要を支え、逆に好況時には緊縮財政で景気を引き締める。赤字財政を禁止すれば、そんな財政の「自動安定化機能」が働かなくなってしまうのだ。
 不況時は税収減に合わせて歳出を絞らざるをえず、財政支出の拡大で景気を刺激できなくなる。逆に好況時には財政が拡張的になって、景気安定どころか好不況の波が増幅する可能性もある。
 財政政策にしばりがかかると、残された景気調節手段は金融政策だけになる。だが、こちらもユーロ導入国は欧州中央銀行(ECB)に一本化され、国ごとの景気調節には使えない。
 国際通貨基金IMF)は欧州債務問題の深刻さを指摘する一方、急激な財政引き締めが経済を一層、悪化させる可能性についても警告を発している。
 今回の措置は、ユーロ圏全体で財政金融政策を一元化する途中経過のようにもみえる。壮大な実験だ。だが成功するかどうか、依然、危うさもつきまとっている。

財政と金融を一元化するということ自体は悪くないらしいが、EUがやろうとしているのは不況時に経済学的合理性なく一体となって縮こまって、それ以外の発想の芽をつんでおくという自縄自縛方針なので、事と次第によっては「自分を雁字搦めに縛った部屋で火事が起こって為す術もなく阿鼻叫喚」という悲惨な事態にもなりかねないな、と思う。しかも隣近所に速やかに延焼するオマケ付きで。