“ユーロ圏崩壊”悲観論強まる

この記事では「数日間」と表現されているが、「数週間」で危機に陥るという記事も他に見受けられ、見解には幅がある。
欧州中央銀行による国債買い切り」が選択肢としてあげられているが、逆に欧州の要人が各国の中銀に対して「国債買い切り手法」を批判している始末で、判断力を失いつつあるような印象。
欧州が墜落すると日本を含めた他国が無縁でいられるわけがないので世界同時不況が再来して、更に2008年の不況よりも各国の対処力が低下していることからダメージがより深いものになる懸念がある。
こういったタイミングで日本政府は増税する方向なので2008年と同じく先進国の中でもっとも酷い状況に陥るのは日本なのではないかと思われる。

【欧州債務危機】英紙「残された時間は数日間」 2011.11.29 20:05
 【ロンドン=木村正人】欧州連合(EU)ユーロ圏17カ国は29日、ブリュッセル財務相会合を開く。債務危機拡大の防波堤として欧州金融安定化基金(EFSF)の再拡充策を決定する見通しだが、焦点の欧州中央銀行(ECB)による国債買い切りを含めた抜本策のハードルはなお高く、「ユーロ圏崩壊まで残された時間は数日間」(英紙フィナンシャル・タイムズ)と悲観論が強まっている。


 「欧州は崖っぷちに立っている。わが国の安全保障にとって最大の脅威はテロでもロシアのミサイルでもなくユーロ圏の崩壊だ」


 ポーランドのシコルスキ外相は28日、ベルリンのブランデンブルク門で演説し、命運を握るメルケル独首相に行動を求めた。


 財務相会合では、重債務国の国債を保証する形で基金の支援能力を現在の4400億ユーロから1兆ユーロ(約103兆円)規模に拡大する方策で合意し、ギリシャアイルランドへのつなぎ融資も承認する見通しだ。


 しかし、資金の約3割を負担するイタリアとスペインに危機が飛び火したことで、基金の効果は市場に完全に疑われている。残された選択肢は(1)ECBによる国債買い切りを含めた積極介入(2)ユーロ圏全体が債務を保証するユーロ共同債の発行(3)財政政策を一体化する財政同盟への転換−の「三つの矢」しかない。
しかし、メルケル首相がサルコジ仏大統領と合意したのは財政同盟に向けたEU基本法リスボン条約)改正だけ。それもEUの権限強化に否定的な英国は反対するとみられ、実現は困難な情勢だ。


 (1)、(2)には、インフレと重債務国のモラルハザードを恐れるドイツが反対姿勢を崩しておらず、来月9日のEU首脳会議が、一部重債務国の離脱というユーロ崩壊の引き金となりかねない危険性をはらんでいる。