原発の必要性を語る前提がウソになっています。

こじつけてまで原発を動かしてしまいたい、動かしてしまえば皆忘れるさ、と。

原発事故:定検で停止中の原発、政府が再稼働促す
 海江田経産相は結果の説明と再稼働要請のため、来週末にも立地自治体を訪問する方針を明らかにした。


 国内の商業用原発54基のうち、37基は定期検査や東日本大震災の被災などで停止している(調整運転を含む)。17基は営業運転を続けているが、うち5基前後が8月末までに定期検査に入るため、電力需給の逼迫(ひっぱく)が懸念されている。海江田経産相は記者会見で「電力供給の不安、コストの上昇は国内投資への抑制、日本企業の海外への回避を呼び起こし、産業の空洞化を招く恐れがある」と強調。「原発の再稼働をぜひお願いしたい。私が直接地元に出向いて説明する」と述べた。【中西拓司、野原大輔】
 

 ◇橋下知事経産相原発周辺に住めばよい」
 大阪府橋下徹知事は18日、海江田経産相の発言に「時期尚早だ。海江田経産相経産省のみなさんが原発の周辺に住めばよい」と批判。「福島第1原発事故を収拾できていない政府が、安全を言うのはどういう思考回路なのか」と述べた。
毎日新聞 2011年6月18日 11時44分(最終更新 6月18日 14時28分)

原発のためならこんな強引なこともやるのか、と驚きます。
他の事柄でこんなに国をあげてなんとかしようとすることって無いような気がするんですよね。
原発の停止が産業の空洞化を招く。」という言い草は全く説得力を感じません。これまで日本政府は円高を延々と放置してきたのですから。政治家からして「円が強いのは問題ない。」というくらい円高に肩入れしてきました。円高は輸出に不利ですから企業の海外脱出の強い動機になるのにもかかわらず国は何もせず産業の空洞化をむしろ後押しするような言動に終始してきたのです。にもかかわらず、原発が関わると一転して産業の空洞化がさも大事であるかのように言い始めて、大臣自らが動こうという事にもなる。この温度差が非常に不自然で、やはり原発には大きなおかしな力が作用しているのだな、と思います。
また電力コストの増大が企業の海外脱出を後押しするとも言っていますが、まだ国は原発のコストが高いことを認めていないのですね。原発のコストが安いという間違った前提で話している点にも不誠実さを感じます。原発ランニングコストが安いだけでその他の面で税金が大量投入されていますし、使用済み核燃料の処理コストも原発関連コストとして計上していませんね。そのコストは電気料金に上乗せされてきたのですから今までの高い電気料金は原発のコストをそうは言わずに消費者から徴収してきただけではありませんか。
また、今回電気料金が上がるのは元々高い電気代にさらにコストが上積みされるということであって、電気代を上げるのは必然ではないでしょう。国から利益を保証された電力会社の非常識に豊かな待遇、施設といったものを元に高い電気代が設定されているだけの話なのですから、電力会社が不当に贅沢な待遇を求めるのをやめれば良いだけでしょう。原発が多かろうが少なかろうが日本の半分程度の電気代しか取らない国はあるわけですから、原発を止めることが電気代の値上がりに直結するような言い方は欺瞞的です。