アメリカ向け仕様を全く改良せず。

災害事情が全然違うアメリカの仕様をそのまま続けていたという話が出てきました…
建造当時は「米側の仕様どおりにしないと安全は保証しない。」でも仕方なかったと思います。日本に技術力がないのですから…
しかしその後技術力がアップした後も放置してきたのはどういうことなのか。
2号機は日本側の役割が増していたのに1号機と変わらない造り方をしたというのも不可解。
考えるのが面倒だったのか技術力がなかったのか。
日本の災害を考慮したら「福島原発はむしろ脆弱」だとわかっていた筈なのに何もせず、それどころか運転延長を決定までしたのですからこれは日本の不作為だと普通に考えると結論されます。
もしかしたらアメリカ側から「改造するな。」と言われていたとか?この辺は続報が知りたいですね。もしそのような理由もなく不作為だったのだとしたら、これは東電・政府の大きな落ち度です。ソフト・ハード両面での欠陥だったことになります。
また、他の古い原発はどうなのかも問題です。同じように「ハリケーン対策(笑)」をほどこした原発があるなら同様に脆弱ですから…
もうひとつ思うのは「災害事情の違う国々と日本の原発推進を同じように考えている。」発想と同じだな、という事です。
原発推進派は「アメリカやフランスが原発をやっているのだから日本もやるべきだ。」という「ちょっと聞くと正しいように感じるが具体的に考えるとトンデモ。」な理屈を言いますね。これは言っている人たちに考える意思が無いということだろうと思うのですが、「アメリカ仕様の原発をそのまま改良せずに使い続ける。」無思考ぶりと大変良く似ている気がします。
考えずにとにかく突き進むのは原発に関わる政治家・官僚・企業人などに共通する特徴なのでしょうか。

「地下に非常電源」米設計裏目に ハリケーン対策だった
2011年6月11日15時0分

津波に無力だった非常用発電機

 東京電力福島第一原発が40年前、竜巻やハリケーンに備えて非常用発電機を地下に置く「米国式設計」をそのまま採用したため、事故の被害が大きくなったことが関係者の証言でわかった。原発は10メートル以上の津波に襲われて水につかり、あっけなく全電源を失った。


 東電初の原発だった福島第一の1号機は、ゼネラル・エレクトリック(GE)など米国企業が工事を仕切った。「東電は運転開始のキーをひねるだけ」という「フル・ターン・キー」と呼ばれる契約で、技術的課題は丸投げだったという。


 東芝や日立など国産メーカーの役割が増した2号機以降の設計も、ほぼ1号機を踏襲。津波など日米の自然災害の違いをふまえて見直す余裕はなかった。旧通産省の元幹部は「米側の仕様書通りに造らないと安全を保証しないと言われ、言われるままに造った」と振り返る。

ただ、「そのまま行くと破綻する」とわかっているものをそのままにして進むのは日本社会ではよくあることですから「またかよ。」と思ったりもします。
「これは破綻しますから改良しましょう。」という提案が日本社会で嫌われる理由は興味深いです。
幾つか可能性を考えてみますと、

  • 「だったらお前がやれ。」と言われるとめんどくさい。
  • 「不吉なこと、面倒なことを言う奴は『悪い』奴。」と考えられているから。
  • 目立つのが嫌だから。日本ではとにかく目立つこと自体危険。内容は関係なし。
  • 欠点に気づくのは知性がある証拠だが日本では知性が嫌悪されるから。
  • 「組織のやることは完璧に決まっている」から。疑ってはならない。事実より体面を重視。
  • 前述に関連して言うなら「組織の無謬性とは事実性ではなく信仰の対象」だから。組織を疑う人間を温情的に面倒を見てやることはないので、そういう奴はやめろ、という感性だから。

こんな感じかな?