「菅直人首相は少なくとも一時的に、日本の原子力利用をこれ以上拡大する計画を見送った」

ニューヨーク・タイムズの話題記事を完全翻訳「原発依存を助長する日本の文化」(Office Matsumura) | 現代ビジネス | 講談社(1/6)
原発問題について連日のように重要な記事をあげる「経済の死角」。
ニューヨーク・タイムズに載った「原発シャブ漬け地方経済」記事の翻訳です。

  • 2009年度、原発を持つ地方に9兆2000億円の公共事業費が投下された。
  • その他に「大量の交付金、資産税、所得税からの収入、個人補償、原発企業の”匿名”の寄付」がある。
  • 楽に儲かるようになると農業や漁業からそちらにシフトし、農業・漁業は衰退する。
  • 島根県鹿島町の税収の4分の3が第二原子炉からの財産税であった時もあった(1990年代)
  • 原発を建造する際の補償費は漁民ひとりあたり4800万円にもなった。
  • 原発のカネの流れは「電源三法」により、これを作ったのは田中角栄
  • 原発交付金で公共施設を造るがその維持費はその地方自治体もちなので後になって重荷と化す。
  • 青森県東通村の2010年度予算の46%は原発からの財産税と交付金
  • 原発を誘致する地方の言い分は「原発以外にカネをひっぱってくる方法はない。」

都会で豊かに暮らす我々が地方自治体の「豊かになる努力」を論難することは確かに難しいのですが、原発が事故を起こすとその地方自治体だけにとどまらない広範な汚染と健康被害が発生します。
福島で「原発マネーの恩恵を受けた住民と受けなかった住民の感情的対立がある。」という報道が見られましたが、「都会vs地方」だけでなく「得した住民vs得しなかった住民」という利害対立もあります。
となると「地方は貧しいのだから原発を誘致しても仕方ない。倫理的に許される。」という主張が怪しくなります。なぜなら、その地方に限っても原発が格差・差別を激化させているからです。原発がなければむしろそれは発生しません。
社会から差別を無くすことはできないとは思いますが「許されない一線」についてコミュニケーションする必要があるように思います。