玄海原発を廃炉にしよう。

玄海原発が弱ってきているそうで廃炉にしなければなりません。
玄海原発は3号機でプルサーマルをやっていますので1号機が逝くともんじゅちゃんと一緒に西日本はプルトニウム祭りが始まってしまいます。
原子力関係者が「大丈夫。」という場合それは大丈夫ではないということが福島の事故で確認できたわけですから私たちも態度を改めましょう。
玄海原発1号機を廃炉にする決断はそこだけどうするかを考えているのでは出てきません。
そこを廃炉にすると決定すれば省エネするか別種の発電所を建造するかも決めなければならなくなります。それを今の東電のように追い詰められてから「出来てません。」と白状するというあたかも0点答案を隠し持っていた劣等生のようなことをしてはならないのです。
こんなことを指摘しなければならないなんて情けない限りなのですが物事は計画的にやらないと上手くいかないのです。小学校のホームルームのような話になっておりますが…

脱原発」を大方針に

結局「脱原発」へと大方針を変更しない限り、ある原子炉を廃炉にするかどうかをフォローアップも含めて整合的に決断することはできないのです。
原発をやるのかやらないのかはっきりしないまま世論におされて廃炉にしても、先だっての計画停電のような混乱を招くだけです。混乱を招けば「やっぱ原発が必要。」と言い出す人々も出るわけです。
ただ、日本には「原発を推進する。」という選択肢は合理的に考えればもう有りません。

核燃料サイクルは無理がありすぎる。

日本が掲げる核燃料サイクルはうまくいっていません。高速増殖炉もんじゅも常陽もそろって事故を起こして機能不全に陥っています。
また六ヶ所村の再処理工場は18回も運転延期していまだ試験中です。当初7600億円の予定だった建造費が2兆2000億円に膨張した上でその調子です。これらは技術的に無理があるということを示唆します。
その上、再処理後の高レベル放射性廃棄物の最終処分場がまだありません。というか世界に1つもありません。
「サイクル」どころか各パートが全部ダメになってブチブチに断裂しており、こんな状態で「核燃料サイクルを前提とした原発推進。」など無謀です。

プルサーマルも問題山積。

仕方ないので始めたプルサーマルも矛盾だらけです。そもそも使用済み核燃料を再処理すると核のゴミが余計に増えます。通常のウランを使用するよりも余計にお金がかかります。プルサーマルMOX燃料を消費するとしても、延々とリサイクルできるわけではなく2サイクルまでしかできません。そしてプルサーマル後に使用済み核燃料を処分の為にガラス固化しようとすると事故の危険性が飛躍的に高まります。
運転に関してもMOX燃料は制御棒がききにくく溶けやすいという性質を持っています。普通の燃料棒とMOX燃料を混ぜて使うとムラが生じて燃料棒が破損しやすくなります。全部MOXにするとこの問題は解決できるそうですが、前述のとおりMOX燃料は通常の燃料より金がかかるので経済合理性を欠いています。それに全部MOXにした場合、「制御棒が効きにくく溶けやすい。」という性質についてどうなるんだという不安も出てきます。やはり無理矢理感が漂っています。

使用済燃料の行き場がない。

燃料棒に関しては、再処理にまわす前の中間貯蔵施設も完成していませんから各原発の燃料プールに使用済み核燃料が貯まりに貯まっています。
中間貯蔵施設ができたとしても容量が無限にあるわけではないのでやはり各原発に使用済燃料が貯まり続けるでしょう。
それはつまり、どこに地震津波がきてもおかしくない日本の各地の危険度を年々上昇させていく非合理をおかしての原子力発電ということになるのです。

再処理しない道は?

一方、アメリカのように燃料の再処理をせずに原子力発電をすると良い、という人もいます。使った燃料は処分場に送ってしまうのです。しかしこの場合はウランが尽きればお終いなので、あと70年〜80年程度でウラン資源はなくなります。しかも中国や東南アジアの国々が原発の建造を増やすのですから資源の枯渇はスピードアップします。
これでは「化石燃料が枯渇するから原子力。」というロジックが成り立ちません。化石燃料の枯渇と大体同じ時期にウランもなくなりますね。*1
結局は自然エネルギーの割合を高め、省エネを一層すすめて資源の枯渇を延ばしていくしか道がないのです。そして日本では「国土がせまく地震津波が多い」という地理的な現実からウランは資源に勘定するべきではないのです。

玄海原発、想定以上の劣化か 専門家指摘「廃炉に」
2011年5月27日16時5分
 九州電力玄海原子力発電所1号機(佐賀県玄海町)の原子炉圧力容器の劣化が想定以上に進んでいる恐れのあることが、九電の資料などからわかった。九電は「安全性に問題はない」とするが、専門家は「危険な状態で廃炉にすべきだ」と指摘。1号機は稼働中で、反原発団体は原子炉の劣化を危険視している。

*1:アメリカは高速増殖炉の開発をすすめる方針だそうですが、「もんじゅ」「常陽」が揃って事故を起こしていること、フランスの高速増殖炉は「炉内のプルトニウムの挙動に未解明な部分があり原因不明の出力低下がある。」という理由で廃炉になりました。原子力発電の割合が77%というフランスが高速増殖炉から撤退したわけです。この状況でアメリカが本当に前にすすむのでしょうか。