外部電源喪失 地震が原因

外部電源喪失 地震が原因


吉井議員追及に保安院認める


 日本共産党の吉井英勝議員は27日の衆院経済産業委員会で、地震による受電鉄塔の倒壊で福島第1原発の外部電源が失われ、炉心溶融が引き起こされたと追及しました。経済産業省原子力安全・保安院の寺坂信昭院長は、倒壊した受電鉄塔が「津波の及ばない地域にあった」ことを認めました。


 東京電力清水正孝社長は「事故原因は未曽有の大津波だ」(13日の記者会見)とのべています。吉井氏は、東電が示した資料から、夜の森線の受電鉄塔1基が倒壊して全電源喪失炉心溶融に至ったことを暴露。「この鉄塔は津波の及んでいない場所にある。この鉄塔が倒壊しなければ、電源を融通しあい全電源喪失に至らなかったはずだ」と指摘しました。


 これに対し原子力安全・保安院の寺坂院長は、倒壊した受電鉄塔が「津波の及ばない地域にあった」ことを認め、全電源喪失の原因が津波にないことを明らかにしました。海江田万里経産相は「外部電力の重要性は改めて指摘するまでもない」と表明しました。

ちょっと待て、と言いたくなる展開です。
「想定外の津波で全電源が喪失した」と保安院も東電も言っていた筈ですが、あの説明はなんだったでしょうか。
どういった意図であんな説明をしたのか。
彼らは専門知識があり当事者なのですから、「受電鉄塔があれば全電源喪失にはならなかった。そして受電鉄塔は津波が届かない位置にあり、壊れたのは地震のためだ」という事実は最初から明らかだったはずであり、間違えようがありません。
それを津波のせいであるとまるで口裏を合わせたように説明していたのは、やはり「想定内の地震原発が脆くも破壊された」ことを隠そうとしたとしか思えません。
暗澹たる気持ちになります。
これが重大事業を担う独占大企業と官僚の有様なのですから。
また、事故発生直後にアメリカその他の外部者の立ち入りを政府と東電が拒んだ理由がわかったような気がします。
・・・しかしそうなると、企業と官僚だけでなく政治家も隠蔽を企図したということになってしまい、この国の「上流階級」が揃いもそろって国民をたばかったことになります。
そこまでしても守りたいのが原発利権なのでしょう。
福島の原発事故は、日本国民の健康を損ない、環境に不可逆のダメージを与え、農業・漁業・工業など、広範囲の経済を損ない、国家・社会への信頼を失墜させ、将来への展望も潰してしまった極めて深刻な事態です。
このような事故を引き起こした責任のある人々が、足並み揃えて虚偽の言説を撒き散らすという状況が許されてよいわけがありません。
原発の事故・事象に関して嘘の説明や著しく間違った説明をした当事者には刑事責任をとらせる立法が必要です。
それが出来ないなら原発など全廃するしかありません。