上原春男氏インタビューまとめ
昨日のエントリ【上杉隆氏】原発設計者 上原春男氏共同インタビュー - Maddercloudのまとめです。
全部見るのがしんどい人にどうぞ。
部分的に驚愕の内容が含まれています。
- 地震の時にたまたま議員会館にいた。そのため、事故直後から総理、政府にアドバイスをしている。
- 状況をきいてすぐにメルトダウンの危険性を伝えていた。
- 3月12日には帰郷したが、3月13日には原発対策のアドバイザーとして上京を要請された。
- 新しい冷却装置をつけるべき、という提案を3月12日にはしている。早期にこの提案をしているのに、いまだ実行されていない。
- 新しい冷却装置の図面も送る、とも伝えた。
- 既存の冷却装置が動く可能性は極めて低い。
- 既存の冷却装置を使わず、新たな装置をつけるというのは常識。根本原理といってもいい。壊れたものを直すのは時間がかかり過ぎる。
- 時間がかかるほど放射能の濃度が濃くなってしまう。
- 自分の提案するプレート式装置は重量が重くなく、離れたところに設置できる。チューブ式のものは重くてダメ。
- 現場の放射能は非常に強くなっているので、設置に際しては安全な方法を考えなくてはならない。
- 爆発が起こる前なら普通の防護服程度で接近できた筈なのだが…
- 今のように水をいれていると汚染水がどこかに流れ出るなどというのは幼稚園児でもわかること。それを止めるための冷却装置の案を言っているのに…
- 水を入れるのは2〜3日の中継ぎ案で、新冷却装置の案を採用してくれると思っていた。まさかこんなに長期間入れるとは。新冷却装置をつけるだけで安心になったのに。
- 汚染水を海に流すなど誰があんなバカなことを考えたのか。世界中から容器を持ってきて入れたらいいだけではないか。
- 新冷却装置は世界で1社しか造れない。それを出してくれるように社長に頼んだ。
- こんな政府をもったことを日本国民として残念に思う。
- 一刻も早く新冷却装置をつけてほしい。遅れると大変なことになる。
- 福島の原発が止まったので、電力の1割が足りなくなった。1000万キロワット。これを補うのは簡単ではない。
- 少なくとも2年以内に供給できるのは300万キロワットしか無理。あとの700万キロワットは省エネするしかない。
- しかし単に省エネすると日本は潰れる。
- 例えばエネルギーをセーブする蛍光灯は存在する。熱のでない蛍光灯が売られている。これはうまくいくとエネルギーを6割カットできる。
- 電灯の電力だけで電力全体の25%を占めるのだから、新蛍光灯に替えていけば相当な省エネになる。
- 地熱発電を増やすと2年で100万キロワット供給できるだろう。
- 海洋温度差発電もつくっていけば良い。一箇所10万キロワットくらいのプラント。
- 電気自動車を普及すべき。石油を消費されないように。電力にまわす石油がなくなる。そのためにリチウムイオン電池が必要だ。海水からリチウムをとる技術は発明されている。
- 太陽光発電、風力発電も出来る限り急いで作るべき。
- 以上の施策を2年で最大限頑張っても200万キロワットは足りないだろう。
- 原発がダウンしたことで原油の価格は上昇する。これに日本経済が耐えうるかどうかが問題。
- 日本の産業構造を大幅に変えなくてはならない。そのための上申案を政府に提出する用意している。
- 汚染水の水のとめかたも4月4日(?)に提案している。あの程度の水はすぐに止めることができたのだ。薬注という方法。
- 新冷却装置の設置は最大限長くても1ヶ月程度しかかからない。
- 枝野官房長官はその案を採用したいと発言していた。
- しかし、発注がなされていない。
- この案の採用を何故躊躇しているのか?世界を巻き込んだ重大問題であるのに。
- 新冷却装置をつけると汚染水の漏れを止める可能性もある。多少漏れても今のようにダダ漏れにはならない。
- 溶接をしなくてもひび割れを直す方法もある。その辺はかなりの技術がある。それほど高い温度ではないからだ。
- 新冷却装置をつければ、2日、あるいは1日くらいで冷却水の水温(?)を下げることができる。
- 福島の原発ができてから40年、技術が他の所では進んだ一方で機械は老朽化したのに、それらへのフォローが行われなかった。そして事故に対する備えがなかった。
- 現在の放水は1日600トン入れている。新冷却装置を1秒でも早く設置しないと、汚染水の処理が非常に大変になる。また、日に日に放射能が強くなり、近づきがたくなってしまう。
- 新冷却装置は造られたものが1機ある。それは外国に行く予定だったのを止めてもらっている。早く発注しないと外国にいってしまう。
- 新冷却装置は「チューブ式」だと何十トンもあるので設置はむり。「プレート式」なら5トン。
- この比較は政府に提出済みで、枝野官房長官はプレート式を支持すると発言している。早く採用するように、もう一度枝野さんに電話してみる。
- 電源がなくても動く自然循環式という冷却装置をつけた筈なのだが、それが無い、動いていないという点に疑問。無い、というのが正しいのかもしれない。
- この事故処理は最初から間違っていた。このような事態の想定ができなかったのが間違い。
- 当初は簡単に収束できると考えていたのではないか。
- 私はその日のうちに今の状況を思い描いていたので、あちこちに電話したのだが…
- 海に汚染水が流されていることはどうしても止めなくてはならない。
- 今のこの状況は情けない。
- 事故がおこった時の対処は難しいことではないのだ。対処ができたのに、何故しなかったのか。無様だ。日本人としてみっともない。
- 3月13日から政府関係者にあって提言していたのに。政府の対応が遅れに遅れた。
- 私の冷却装置案に(技術的、専門的観点から)反対する意見があったらすぐに知らせてほしい。
この非常時にも東電の不可解な隠蔽が続いているのは、もしかしたら本来あった筈の安全装置を省いていたことが発覚するのを恐れているのかもしれませんね。
しかし、たとえそうであったとしても非常事態ですから外部の協力者をいれるべきであるし、また、自分たちの能力ではこの事故に対処できなかったことが赤裸々になってしまうとしても、外部からの有効な提案を実施するべきでしょう。
政府やインフラ企業がメンツにこだわり、外部からの有力な手助けをこの期に及んでも拒絶するような自由はありません。国民はそんなことまで信託しておりません。