根拠なく判断する国民性

今の日本人に対して私が思う問題点は、「根拠無く判断する」ということです。
前回の選挙で政権交代したわけですが、結局選挙のときに言っていたことを実現できないとか、無理やり実現しても財政上大問題になっているとか、碌な結果が出ていないわけで、政権交代させようと有権者が判断したのはフィーリングの側面が強く現実や理論的根拠を踏まえて投票したのではないことが明らかになっています。
現在も政局はゴタゴタしているのですが、またも溜息をつかざるを得ないのが次のような事情です。

小沢氏辞任「よかった」85% 朝日新聞緊急世論調査
朝日新聞2010年6月3日(木)22:05

 鳩山由紀夫首相の退陣表明を受けて、朝日新聞が2日夕から3日夜にかけて実施した緊急の全国世論調査(電話)によると、「いま投票するとしたら」として聞いた参院比例区の投票先は、民主28%、自民20%、みんなの党6%で、民主、自民ともに20%、みんなの党が9%だった前回調査(5月29、30日)に比べ、民主党が回復した

鳩山首相はにっちもさっちもいかなくなって政権を放り投げたに過ぎず、この辺も近衛文麿を彷彿とさせますが、政策的に何をしたわけでもないのに、単に辞めたことを評価するという日本人の判断に驚きを禁じえません。
何を評価したのか皆目わからないですね。
自裁するのが立派、というのは非常に日本的な感性に過ぎないのであって、普遍的な説得力を持つものではありません。
追い討ちをかけるように次のような報道も。

菅新首相“期待する”60%
6月7日 19時13分 NHK

菅新総理大臣の選出を受けて行ったNHKの世論調査によりますと、菅新総理大臣に「期待する」と答えた人は、60%だったのに対し、「期待しない」と答えた人は、37%でした。

期待するっていうのは何をですか?
風采ですかね。
私なんぞ具体的に期待する実績が思い当たらないので困惑しますが、民主党や新首相を支持・期待している人たちは何に対してそう考えているのか具体的に示してほしいと思います。
私の予想では単なるフィーリングだと思いますが。
人間は他人を批判するのは当然でも自己批判するのは考えたことも無い、というのが普通です。
ただ、もうそろそろ自分の判断には具体的な根拠を持つというくらいの民度は必要なんじゃないでしょうか。
日本は安穏としているようですけれども、意外とそうじゃないですよ。内外の情勢はわりとヤバかったりしますから。
日本の政治家は駄目だ、とかしたり顔の批判は誰でもしていますが、グラビアアイドルとかスポーツ選手とか、政治家になるための素養を積んでいない、上昇志向だけの人々を当選させているのは他でもない日本の有権者ですから。
自分たちで選んでおいて情勢が悪くなるとまるで他人事のように批判するという行動様式は全く教養あるものではありません。
新政権にも今後いろいろ不都合は出てくると思いますが、そのときには上記の根拠無き支持率上昇という現象を思い起こし、良くない現実への責任は他人だけにあるのではなく、自分にもあるのだ、という当事者意識を持つ人が増えればよいと考えます。

参考資料