天皇は半島から来た?

某料理漫画(美味しそうなタイトルね)の原作者が「天皇は半島から来た」とかブログで書いています。
よくもまあそんな出任せを書けるもんだなと思いますが、根拠にこだわらない人の方が表現活動に積極的になれるのかもしれません。信用はおけませんけど。
この人の料理漫画には「タバコを吸う料理人は論外」という話があるのですけれども、同じくこの人の料理漫画で絶賛されている料理の鉄人がタバコを吸う姿がテレビで映されたときには「おいおい」と思いました。
タバコを吸うと舌が駄目になって碌な料理が作れない、という主張もこの人の思い込みにすぎないのでしょう。
また、この人の料理漫画には「江戸時代には農民が生活困難になるほどの重い年貢をかける藩があった」という話があるのですが本当ですかね。
たとえば島原・天草一揆では、一揆の一因をなした重税をかけた領主が幕府から切腹を申し付けられています。つまり重税を課せば江戸時代初期の百姓ですら一揆を起こすし、一揆を発生させたら責任を問われるということなわけで、そんな危ない橋を渡る領主がいたのかどうか疑わしいですね。
そもそも天領では年貢は40%も取れていません。これは江戸時代を通じていえることです。
教科書では「徳川吉宗が年貢率を五公五民にしました」とか習いますが、それは名目上五公五民になったというだけで、実際にそんなに取れたわけではありません。
豊臣秀吉朝鮮出兵についても触れられていますが、そもそも秀吉の目的は明でありました。
確かに和平交渉では半島の領土の割譲を求めていますが、秀吉は中国に代わって東アジアの秩序の中心に日本を据えるのが目標だったわけで、半島そのものを的にはしていません。この辺も誤解を招く表現をあえてしているという印象を受けます。
朝鮮出兵関係でいうと、李参平(イ サンピョン)が有田焼を発明した史実はあるのですが、陶芸は別に日本芸術の代表ではございません。
日本の多様な芸術の一分野に過ぎず、ほとんどの日本人は無関心です。根拠無く断言するのはやめてほしいものです。
ついでにいうと、昔の日本人は礼儀正しくも李参平を敬っていまして、「陶祖神社」を作って彼を祀っています。この漫画原作者は日本史上の偉人を論拠無く感情的に罵倒したりするのですが、よほど日本や日本人の価値を認めるのが嫌なのでしょう。しかし残念ながら、日本人はそれほど低級な民族ではありません。
実際、朝鮮陶工の子孫で日本の外務大臣になった例があります。
東郷茂徳 - Wikipedia
戦時中に日本軍において将軍にまでなった人もおります。
洪思翊 - Wikipedia
日本人が差別意識にまみれた悪逆非道な国民であるという主張は、やはり根拠無きレッテル貼りでしかありません。
半島と日本の付き合いが長いのは確かなのですが、だからといって北朝鮮による拉致についての批判で手心を加えるべきだという考えには全く賛成できません。
拉致されたと認定された人々は17名に過ぎませんが、一説には数百人にのぼるとも言われており、相手の面子をおもんぱかって批判を遠慮するべきだという話にはなりようもありません。そんな軽い話ではないはずです。
もし拉致問題が大した問題でないとするなら、過去の日本の「悪行」についても非難する理由はないですね。
参考マンガもあげておきます。

コンシェルジュ 8 (BUNCH COMICS)

コンシェルジュ 8 (BUNCH COMICS)