武士は武士か

私は江戸時代の武士があまり好きではなくて、屈強な真の武士は平安〜鎌倉あたりの武士だと思っていまして、その理由は江戸時代の武道家が書いたものが非現実的であったり功利的であったりして信用できないと思っているからなんですね。
しかし、日清・日露戦争と太平洋戦争の比較をしていると、それでもやはり武士は武士なのかもしれないと思ったりします。
日清・日露戦争を遂行したのは江戸時代に生まれた人々で、一般的なイメージでいうと「250年もの泰平の夢をむさぼってきた人たちじゃ駄目なんじゃねーの」となるのですが、実際にはかなり見事な戦争指導をしております。
それに比べて賞賛されることの多い「明治の男」が中心になって行われた太平洋戦争はグダグダもいいとこであります。明治から昭和にかけては「実戦経験」を現場で積んできたはずの人々があの体たらくですから不思議なことです。
何が違うのだろう、と考えると真っ先に思いつくのは教育ですかね。
武士たちは「遅れた」伝統的な教育を受けた人々であるのに対し、明治生まれの軍人たちは西洋から輸入した「進んだ」教育を受けているのですから、近代戦には明治生まれであるほうが有利なはずなのですが…
武士たちが学んだのは中国から伝来した「戦争観」、日本伝統の「戦観」です。
明治の軍人は西洋伝来の「戦争観」を学んでいるのにそれを生かしているようには思えません。
たとえ遅れた内容であっても、血肉になっている智恵の方が一知半解の進んだ知識よりも役にたつのかもしれません。
また、祖国や同胞に対する責任感にも差があるような気がします。