日本の金融政策は、世界でも独特の地位を占めている。

日本の金融政策の特殊性というのは、世界で唯ひとつ、矛盾を超越して存在し続けることが出来るという得体のしれなさに存在している。
藤井裕久民主党議員は、「金融政策には実体経済を押し上げる力は無い。」と主張する。

金融政策に実体経済を押し上げる力はない=藤井民主税調会長
2012年 03月 14日 11:33 J
 [東京 14日 ロイター] 民主党藤井裕久税制調査会長は14日、都内で講演し、金融政策に円安効果があるのは事実としながら、金融政策に実体経済を押し上げる力はないと述べた。一方、現在の経済への認識として、デフレとはスパイラル的に物価が落ちることであり、今はデフレではないとの考えを示した。

一方、白川方明日銀総裁は「金融政策が圧力に屈するなら自殺行為。」と述べる。

日銀総裁:屈すれば自殺行為−政治圧力から金融政策守る姿勢
  3月14日(ブルームバーグ):日本銀行白川方明総裁は、金融政策を政治的圧力から守る姿勢を示した。日銀が2月の金融政策決定会合で資産買い入れ等基金の増額などの追加緩和に踏み切ったことで、金融政策に対する政府の影響力が強まりつつあるとの観測が高まっていた。
日銀は今月13日の決定会合で、審議委員の1人が示した資産買い入れ等基金のさらなる増額案を反対多数で否決。代わりに長期的な成長基盤を強化するための資金供給の拡大を決めた。白川総裁は会合後、記者団に対し、政治に屈すれば「自殺行為」となると述べた。

ともに金融緩和には消極的なこの二人の意見をまとめると、「日本の金融政策には経済を押し上げる力はないが、下げる力はある。」ということになり、まことに不条理な話である。
そんな危険なものなら「金融政策」なんてやらないことにして、ついでに日本銀行も廃止したら良いだろうと思う。

藤井裕久・民主党議員の不可解

藤井裕久民主党議員は、「金融政策には実体経済を押し上げる力がない。」と発言し、金融緩和の不要を主張し、見方によっては金融政策の価値そのものを否定している。
ただ、過去には次のような発言を残している。

財務大臣 藤井 裕久(ふじい ひろひさ)

 この度16年ぶりに財務大臣を拝命しました藤井裕久です。
 申し上げるまでもなく国の財政は深刻な状態です。ただし、社会で最も大事なのは経済すなわち国民生活であり、経済なくして財政もあり得ません。まず経済を立て直し、結果として財政もよくなる、という高橋是清の教えに立ち返るべきです。
 振り返れば、もはや高度成長期ではないにもかかわらず、従来の資源配分には無駄がありました。この無駄を省き、マニフェストに従って国民生活第一の資源配分を行うことで、外需から内需中心の政策に転換し、新たな経済成長を創出してまいります。
 その上で、財政規律についても考えねばなりません。長期的に財政を立て直すため、プライマリーバランス黒字に加え、債務残高対GDP比に基づく目標も考慮が必要です。
 以上の課題について、各大臣にも「査定大臣」の心構えで協力して頂きつつ、皆様の期待に応え、政治の信頼を取り戻すべく、全力で取り組んでまいります。
http://www.mmz.kantei.go.jp/jp/m-magazine/backnumber/2009/1008mh/index.html

高橋是清は、国債を日銀に直接引き受けさせ、金融政策と財政政策を併用して昭和恐慌を克服=世界恐慌から世界でも最速で日本を脱出させた偉人である。
高橋是清は、国債の日銀直接引受・金融緩和・財政拡張、という手段によって大成功を収め、世界恐慌を研究している世界中の専門家から尊敬されている人物である。
一方、藤井裕久民主党議員は、日銀引受・金融緩和に反対し、さらにはデフレ不況下の増税に賛成して経済を収縮させ、財政も悪化させようとしている人物である。
言っていることと行なっていることが全く矛盾しているのだが、藤井裕久民主党議員は昔から発言が矛盾し続けており、どうやら習慣になっているらしい。
藤井裕久に限らず、民主党の政策は常に矛盾しているので、もはや矛盾は民主党の党是であるようだ。