手段が目的化しているリフレ系


リフレ系の人たちが足並みそろえてFTPLをもてはやしたり、日銀の独立性をはく奪することを目指していることには異様なものを感じます。
永久債、ヘリマネ、政府紙幣、FTPLと、これらの共通性は中央銀行の独立性を取り上げて、政治家が財政政策も金融政策も取り仕切るシステムを構想しているわけですが、こういう危険きわまりない思想を広げたがる理由は何なのでしょうね。
これらの案は政治家の権力を飛躍的に増大させるので、政治家から喜ばれる提案ですから、これらの提案をしているとリフレ系の人士が政治家の後押しで学会やマスコミで出世できるというメリットがあるのだろうと思います。
財政と金融を政治家に預けてしまう提案は、一般国民にとってはデメリットしかないので、純粋に日本の社会のことを思えば提言する正当な理由はありません。
リフレ系の人たちの個人的な利益が主な動機だろうと考えています。

府紙幣

日銀のシニョリッジは金利分しかないので、それを用いて大きく財政出動することなどできませんが、政府紙幣なら古代・中世の支配者と同じく、シニョリッジを丸ごと政府が手に入れることができます。
【日本の解き方】トランプ氏、為替発言への反論 大統領令を逆手に取り、政府紙幣の発行を提言せよ (1/2ページ) - 政治・社会 - ZAKZAK
政治家にとってはまたとない美味しい話ですが、現代の先進国が中央銀行に貨幣発行権を預けているのは、政府紙幣が危険だからです。
政府紙幣は基本的には戦争や恐慌のような非常時に発行されるもので、たかが景気回復のために政府紙幣を発行したのではデメリットの方がはるかに上回ります。
金融政策を政治家にまかせてしまうと、歯止めがなくなってしまいます。
インフレ目標が歯止めになる」という人がいますが、なりません。
インフレ目標は日銀の政策指針にすぎないので、政治家が無視してもなんの問題も発生しません。
インフレ目標は法律でもなんでもないので、拘束力を持ちません。
財政政策と金融政策を手中にした政治家を止めるには、選挙で落とすしかありませんが、国民は景気が良い限りは選挙で落としません。
そうこうしているうちに、インフレの高進やスタグフレーションが発生します。
これは70年代のアメリカで実際に起こったことです。
当時のアメリケインジアンの提言のもとに、60年代は好景気を実現したものの、景気がよくなっても貨幣を回収しなかったために経済が大きなダメージを受けました。
それを克服するのに、1980年前後の、マネタリズムによる金融引き締めが行われ、不況を通じてスタグフレーションを収めなくてはならなくなりました。
日本車をぶち壊していたジャパンバッシングはこの時代です。
財政と金融を一体化するという提案は、結局は大幅な増税か、日銀による引き締めによって不況をもたらすことになります。
そんな危ないことが行われるくらいなら、インフレ目標はもう達成しなくて良いように思います。
インフレ目標の存在がむしろ、危険なポピュリズム的政策を引き寄せているように思いますし、その中心をリフレ系が担っています。