財政出動で景気が低迷


財政出動をあおる人たちが現在期待しているのは、トランプ相場で円安株高になって景気が上向くこと。
そのとき彼らは、「財政出動が効いた!」とこぞって叫ぶことでしょう。
その時期を一日千秋の思いで待っています。
夏季オリンピックを三回開けるほどの税金をこの数年で無駄遣いし、そのうえ景気を低迷させている財政出動派はまさしく「戦犯」ですが、安倍政権はこの路線を継続するでしょう。
金融政策を抑え、財政政策を強化するという誤った政策を続け、日本経済に大いなる無駄を発生させることでしょう。
2016年は時間とカネの無駄でしたし、無駄継続の出発点となりました。
安倍政権が今後望みをかけるのは、アメリカの好況に引っ張られて日本もなんとなく景気がよくなることでしかありません。
アメリカもユーロ圏も緊縮財政を実施していますが、日本より景気回復が好調で、むしろ日本からの輸出が増えている状況です。
安倍政権が掲げているマクロ経済政策上の目標は三つあり、インフレ目標、名目GDP600兆円、プライマリーバランス均衡化、ですが、これらはどれも達成不可能でしょう。

DP二次速報で下方修正

7〜9月期GDP二次速報
四半期GDP二次速報が下方修正された、というのは久しぶりのことです。金融緩和が開始されてからは、設備投資の統計が上がると上方修正されることが重なっていましたが、今年は財政出動しているにも関わらず、むしろ需要が減退しているようです。
というか、財政出動してリソースを奪うから需要が減退するのだと思いますが。
今回のGDP速報の特徴は、実質GDP増加が弱弱しいこと、しかもその寄与度がほとんど輸出だということ。
財政出動をしたにも関わらず日本の輸入は減り、緊縮財政をしている海外は日本の製品を買っているという状態です。
財政出動によって内需が減ってしまっています。
安倍政権の目論見とは真逆の結果が出ており、大失敗です。
税金を無駄遣いした挙句に、意図と真逆の結果を出しているのですから、目も当てられません。
こんな状況でも財政出動派は何の反省もしていません。
一方で、民間住宅は相変わらずの好調。
マイナス金利の弱体化が発表されたのは9月下旬ですから、今回の統計ではまだ、マイナス金利の効果が確認できます。
9月以降、じわじわと金利が上がっていますので、これがどうでるか。
上がったけれども許せるくらい低いから住宅投資が継続されるのか、あるいはローンの重みが気になり始めて住宅投資が減ってしまうか。
私は無責任な予想屋ではないので結果を待ちたいと思いますが、理屈で考えるとマイナス金利を弱体化させるのは馬鹿げた話だとは思います。
ちなみに輸送用機械の増加も前四半期に続いて好調でした。車もローンの対象ですから。

年ぶりにGDPデフレーターがマイナス

財政重視に舵を切りなおしたとたんにGDPデフレーターがマイナスになりました。
法学や政治学の世界は理屈だけで黒を白と言い含めることができてしまうので、必要な世界なんだけど今一つ好きになれないのですが、経済学は市場である程度客観的なメカニズムが働くので、間違いは間違いだと部分的にでも証明されるところが良いですね。
GDPデフレーターは輸入物価の影響をあまり受けません。
原油価格の下落が物価の下落を引き起こした」と言えないということです。
GDPデフレーターは国内の財とサービスをすべて対象にする物価指数であり、輸入物価の影響をあまり受けない指標ですから、これが3年ぶりに下がったということは、国内の経済活動が低下したという意味であります。
財政出動の結果、経済活動が低下した、と告げているわけです。
日本がデフレに転落したとき、反応が早かったのはGDPデフレーターでした。
消費者物価指数でデフレになったのは1998年ですが、GDPデフレーターは1994年にはもうデフレを示していました。
この結果を本来なら真面目に受け止めて政策変更を行うべきなのですが、やらないでしょうね。
「政治は結論が先にある」と嘯くばかりでしょう。
ただ、今の状況を見ていると、GDPデフレーターのマイナスが深刻な状況に至るということはないのだろうと思います。
トランプ相場で資産市場が改善される期間が何か月か続くので、日本の実体経済はよくなるだろうと私も思います。
ただ、それが財政出動のおかげ、というウソが蔓延して、今後も長く税金の無駄遣い、税金で私腹を肥やすふるまいがエスカレートしていくという悪影響をもたらすだろうと思います。