いろいろ足して2か3で割る「ほどほどのミクス」


日銀の新政策を私はあまり評価しません。
苦し紛れの妥協策ですね。
結論が先にあって人びとを丸め込む理屈を考えるという、官僚のお仕事を黒田日銀が苦しみつつやりました、という非常に人為的・人工的な、とってつけたような「政策」でした。
新政策の下でもマイナス金利の拡大ができないことはないと理屈の上では言えますが、事実上は封印でしょう。
世間的にはマイナス金利を廃止していないように見せるように実質的には廃止するという策のように思います。
安倍政権もなかなか陰湿ですね。
黒田日銀というより安倍政権が金融業界の社会的権力に屈して結論先にありきの政策を強要しているわけですから、今後経済が停滞していったときに黒田日銀が腹を切らされるという点が気の毒ですね。
日銀は「5年くらいまでの金利は低く、10年以上の金利はマイナスにならないように」したいようです。
ハリガネのようにイールドカーブを金融政策だけで折り曲げるという構想ですが、疑わしいですね。
5年までの金利長期金利を人為的に切断できるという発想は経済学の教えからは普通出てこないです。
金利は金融政策だけで決まるわけではないですし。
日銀というか安倍政権の要求は長期金利をマイナスにしないということなので、それを優先するはずであり、5年までの金利まで上がったとしても、それを下げる努力はしないでしょう。
5年までの金利を下げる、マイナス圏に留めるにはそのへんまでの国債買い入れでは足りず、マイナス金利の拡大が必要になるはずですが、それをやるとつられて長期金利も下がってしまいます。
(マイナス金利によって長期金利の方が大きく下がりました、と言っているのは他ならぬ日銀自身です。短期と長期の金利は強く連動するということです)
長期金利を上げるには日銀が持っているその辺の国債を売るということになるのでしょうが、狙い撃ち風にそこだけ金利が上がるものなんでしょうかね。
そんな風に都合よくイールドカーブの折り曲げができるなら、どの国でもやると思うのですけど。
日銀の今回の政策が異例なのは、他の国では「できない」と思われているからだと思うのですが。

治に期待しない重要性

今回の政策はいいものではないと思いますが、だからといって不況になるとかデフレに逆戻りするとかいうわけでもなく、ほどほどに良い感じになっていくでしょう。
アベノミクスが大きな成功を上げるには、
世界経済が急に活発になるか
原油の減産がはじまるか
国内の失業率が下がりきるか
のいずれかが起こる必要がありますが、いずれにせよ貴方だのみです。
起こればうまくいくし、起こらなければ、ほどほどの成功で安倍政権は任期終了です。
それでもデフレ期よりはマシなので、目尻を釣り上げて批判するようなことでもありません。
国民経済全体より一部業界を優遇する都合だけで政策を非合理に劣化させるアホらしさにシラけつつも適当に批判する程度のことであります。
よりよい状態を期待するから頭にくるわけで、政治がくだらない利害調整の妥協の産物だと割り切っていれば済む話です。
それにしても、欧州のマイナス金利は0.4%とか、1%とかある水準なのに、日本はたった0.1%のマイナス金利が半年しか耐えられずに既得権の圧力で事実上廃止になるわけですから、社会構造と国民の心性がどれだけ途上国なんだよ、と思いますね。
まさに土人国家。
部族社会。
日本は次に戦争をやったら、こんな政府、利権社会構造では必ず負けますから、戦争ができない国で有り続けるのは大切ですね。
永遠にアメリカの保護国である方が安全です。日本政府にまともな戦争指導などできません。
戦時にも利権拡大に走って国民を犬死させるでしょう。
太平洋戦争ではそれが実際に起こりましたし、今の経済政策も本質的に同じことをしていますから。

イナス金利参考文献

Makoto Shimizu (@makoto_shimizu_) | Twitter
在野リフレ派が議論から逃げ回る姿が観察できるので、フォロー推奨。
日銀の総括的検証、何のため?・前篇 | ハフポスト
日銀の総括的検証、何のため?・後篇 | ハフポスト
私は岩田副総裁を尊敬していますし、リフレ政策を支持していますが、だからといってマイナス金利政策を根拠もなく否定するわけではありません。
私は自分でマイナス金利政策について調べてみて、有効だと思ったから賛成しています。
在野リフレ派やその支持層のように、調べもしないで反対を叫ぶ向きとは違います。
Confessions of a Supply-Side Liberal
検索結果: Miles Kimball — 経済学101
安倍政権が金融業界と政治的に取引して事実上マイナス金利の効果をそぎ落とす決定をしてしまった今となっては遅いですが、参考として挙げておきます。
在野リフレ派がいかに脆弱な「論説」をふりまわしているか分かるでしょう。