「国民1人当たり830万円」は妥当な表現

財務省が政府の総債務しか発表しない、という非難を浴びせる人が増えましたが、これは単なる事実誤認。
財務省ははっきりくっきり発表しています。
政府の負債と資産 : 財務省
財務省は政府資産の8割は売却できないと主張していますし、政府資産を売却するなどという流れにはなっていないのですから、現状、総債務で発表するのは妥当です。
どの政府資産を誰にどのように売却するのか、を明確にしてから純債務を問題とするべきでしょう。
在野リフレ派がマスメディアやネットメディアでウソを流しまくっているせいか、政府債務について異常なまでの楽観論を吐く人が増えました。
ネットで経済論議をする人の大半が財政赤字推進派という状況です。
根拠が無くても気にしない人たちです。
日本の政府債務について、独自通貨があるから大丈夫、政府資産があるから大丈夫、といった怪しい話に加えて、今度は対外資産があるから大丈夫、という妄説が出てきました。
日本には対外資産が340兆円あるから大丈夫なのだそうです。
調子の良いこの話に大喜びで飛びつく人が多数、なのは予想どおり。
日本人が付和雷同してわっしょいわっしょい危ない方向に行くときは、いつもこんな感じですから、お馴染みの風景であります。
日本社会にも理性のある人がいるだろうことを期待して、ちょっと確認。
平成26年末現在本邦対外資産負債残高 : 財務省
外資産のうち、公的部門がもっているのは70兆円に過ぎません。
巨大な政府債務から見れば焼け石に水、ですね。
もちろん、売却可能な対外資産なのかどうかは分かりません。
財政赤字推進派は、インフラや出資金も政府債務の償還に使えるなどと言っていますが、社会の便益上必要なものを金勘定だけで処分して良いわけありません。