増税延期・選挙・財政の維持可能性・追加緩和

いまのところ、増税延期と同日選なし、という方向のようですね。
増税延期なら衆院解散が必要、という意見が自民党では目立つようですが、理由がよく分かりません。
前回の選挙でそれはやっているので、国民の意思が消費税反対であるのは明らかです。同じことをする必要はないと思います。
衆議院の議員にとって解散は嫌なものでしょうから、増税延期のたびに解散総選挙という慣行を作ってしまうと、議員たちは増税に賛成するようになってしまいます。
自民党の中にとにかく増税を志向する議員が多いことは今後も懸念材料です。
そのような中で安倍政権が増税延期と同日選なしという選択をするなら、国民生活のために身内の反対もかわして頑張っていることを評価するべきではないでしょうか。

政の維持可能性

消費税を上げなければ財政が維持できないという前提で語られることが目立ちますが、税は消費税だけではありませんし、構造改革で支出を減らすのも必要でしょう。
消費税を上げるより、譲渡益税の死亡時課税や相続税の強化なども考えられます。
社会保障への支出を構造改革することを「緊縮財政」として批判する声が多いですが、この二つは連関しているわけではありません。積極財政をしていても社会保障を削ることはできますし、その逆もできます。
日本には保育所への過剰な税投入やコメの減反政策など無駄な支出があり、この手のものを細かく調べていくと削ることのできるものがかなりあるはずですが、そういうものを詳しく正直に書いている本がないので、国民が誤魔化されている面が多いと思います。
私が偶然見つけて呆れた例としては、「図書館が新聞を購入するための補助金10億円」というもので、額は少ないですがこの手のものが積もり積もって結構な無駄になっていると推測しています。
財政に関しては、無駄をある程度指摘してはいるが増税派、という人と、増税反対だが無駄容認派、という人しか見つけられないので困ったものであります。
増税か支出促進なら有力者層から支援を受けられますが、増税反対・無駄削減、という意見は有力者にとって何のメリットもないのでメディアでの活動を後押ししてもらえないのでしょう。

加緩和

黒田総裁が追加緩和に積極的でない理由として、性格が天邪鬼だから、という説明がなされることがありますが、個人的な性格が政策に影響を与える面がそれほど大きいものか疑問です。
脇を固めている副総裁や委員の意見を無視して、個人的な意向で押し切るものでしょうか?
こういうことは推測するしかないので、私の意見も単なる推測ですが、黒田総裁は「予想された金融政策は効果が薄い」という仮説を信奉しているのではないかと思います。
異次元緩和はその当初から、予想を裏切るようなことをやろうとし続けていますし。予想外のことをする方が資産市場の与える影響や、一般の人達の予想に与える影響が強いということはあるのかもしれません。
しかし、予想された金融政策でも効果がある、という実証研究もあるのですよね。私がこの間まで読んでいた教科書では、その辺はあまり気にしなくてもよいという感じでした。
黒田日銀には、毎回最大効果を狙うのではなく、適宜追加緩和をして欲しいと思います。ただ、それが緩和量の拡大であるべきなのかどうかはよくわからなくなってきました。
マイナス金利の拡大はやって欲しいと思いますが、あとは買い取る資産の種類なのかな、とも思います。