安全資産が不足している問題

ベックワース氏のエントリから。
Macro Musings Blog: The Safe Asset Problem is Back: Negative Interest Rate Edition
要約的意訳。

国債コマーシャルペーパーのような安全資産が不足する問題が、2008年の危機以来つづいている。
量的緩和やマイナス金利の実施より前から発生している問題である。
安全資産は機関投資家の間で貨幣として用いられているが、危機の発生によって安全資産への需要が高まるとともに、民間の安全資産が消滅してしまったため、不足が起こっている。
安全資産への超過需要が発生したために自然利子率が0を下回ってしまったと推測され、政策金利は0未満にはできないために、産出量が潜在力を下回る事態となった。
安全資産の市場が均衡するには、名目金利が0を下回る必要があるが、それができないために安全資産への超過需要が続いてしまっている。金利は高すぎ、資産価格は低すぎるということである。
解決策として考えられる方法は3つある。

  1. 国債を増発する。
  2. 景気回復を公衆に信じさせる。(名目GDP水準目標など)
  3. マイナス金利の導入。

これらの方法が奏功するかどうかには確信が持てないが、この問題をよりよく理解するためには、何らかの試みをするべきだろう。

現在の円高に対応するために、4月末の会合で日銀は何らかの対策をとるだろうと思いますが、何をやるのか興味深いです。
金融緩和量の拡大はするだろうなと思いますが、マイナス金利の拡大についてはあまり積極的ではないかも?
しかし、民間の安全資産の増加を促すためにはマイナス金利の拡大も必要だとは思います。
他にも手段があるかもしれません。
また、金融緩和の余地がどれほどあるか、ということにも関心がひかれます。日銀の公式見解では余地があるとのことですが、余地がないという人ももいるので、分かりにくいですね。この点についてどちらなのか具体的に明らかにして欲しいと思います。
国債の増発についてはハードルが高いような気がします。政治家と官僚が話し合って、手続きを踏んで…という具合にやっていく事柄ですから時間がかかりますし、そもそも政府債務が問題視される中で財務省が応じるものなのか疑問ですし、マスコミも安倍政権批判にこぞって利用するでしょうし。
リスクが大きい選択肢だと思います。
仮に増発がかなったとしたら、同じ額を減税して、増発分はすべて日銀が買い取るのが理想ではありますが、そうはならないでしょうね。
結局は効果の怪しい政府支出に大半が使われてしまい、経済の効率性と公平性を損なう結果になるのだろうと思います。
財政政策にはそのような欠点がいつも付きまとうので、個人的には賛成しづらい選択肢です。