追加緩和いまのところ必要なし

日銀の補完措置(だっけ?)が発表されましたが、やや円高・株安の失望が見られました。
アメリカの利上げに伴って、去年のような追加緩和が期待されていたのかもしれませんが、必要ないならやらないだけなので、そこは毅然としていればよかろうと思います。
資産市場には実体経済を引っ張ってもらうことが期待されますが、実体経済と関係なく資産市場の思惑のためだけに金融政策をするわけではありませんし。
今回の円高は1円くらいで収まっているので、この間のECBほどの反応ではなく、市場でも「まぁ別にいいんじゃない?」と考えている人が多いのでしょう。
私も今の段階で追加緩和が必要かどうかよくわからないのですが、「必要だ」と言っている人たちが例によって根拠を言いませんね。
根拠なく「私はこう思います」というのは単なる意見に過ぎないのであって、説得力はまったくありません。
おそらく、根拠が言えないのだろうと思います。
岩田副総裁はこのあいだ、「1〜2ヶ月の間に追加緩和はない」とおっしゃっていたので、追加緩和があるとしたら2月以降なのかもしれません。
ただ、実体経済の改善が続いていくようならそれも無いのかもしれませんが、そのことを悲観的に受け止める理由が分かりません。
現実の日本経済のためというよりは、自分たちの体面とか作ったストーリーに沿うような政策を求めているだけのように見えます。

TFの買い入れ拡大

日銀のETF買入れ枠拡大は、株価には「実質やや縮小」:研究員の眼 | ハフポスト

  • 現状維持、実質やや縮小
  • 日銀の発表直後に株価が急上昇したのは、いわゆるアルゴリズム・トレードが「拡大」といったキーワードに反応したためではないか

ETFの売却分を相殺するために買い入れを増額するという理解で良いようですね。
購入と売却をぐるぐる反復する意図は、たぶん異なる組成のETFを買っていくためなんでしょうね。設備投資・人材投資に積極的な企業の株式が入っているものとか(そんなのどうやって判定するのか疑問ですけど)。こういう意図も日銀が説明すると勉強になるんですけどね。
岩田副総裁と原田泰委員が日銀に入ってしまって解説が読めないのでそこは不満ですね。まともなことを言う人がなかなか見つけられなくなってしまいました。
新たな株式購入枠、「政権サポートでない」=黒田日銀総裁 | ビジネス | ニュース速報 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

既に日銀はQQEで年間3兆円のETF(上場投資信託)を買い入れているが、今回新たに設備・人材投資に積極的な企業の株式を対象としたETF(当初はJPX日経400連動ETF)を年間3000億円買い入れる枠を来年4月に設定する。日銀は、バブル崩壊後の局面で買い入れた銀行保有株を来年4月以降、売却を始める予定だが、その売却額(年3000億円)と合致する形だ。

バブル崩壊後って、1990年代ってことでしょうか。それはもう売りますわな。

今回の日銀発表後、為替・株式市場は大きく乱高下し、株式市場は結果的に大幅な安値引けとなり、市場では「戦力の逐次投入」回避を掲げてきた黒田日銀の変節との見方も広がった。黒田総裁は「追加緩和しなければならない時は、当然思い切ったことをやる」と力説。今回の措置は、緩和長期化やさらなる追加緩和に備えた措置との趣旨を説明した。

この部分、良いとおもうんですけどね。

機を煽る先生方

クルーグマン教授「利上げ絶対NO」「日銀のクロダは臆病だ」「消費増税で水を差すのはもってのほか」 | チャンネルくららブログ
なんだかなぁ。
アカデミックな感じではなくて、政治・経済の時事ネタストーリーコンテンツ、って感じの戦略なんでしょうか。
エンターテインメントとしては面白いんですけど。
人のためになる商品をクリエイトするのは大事なことなので、面白いコンテンツを提供する工夫である、という好意的解釈はできるんですが、真に受ける人もけっこういますから、問題なしとは言えません。
ガチンコな学者の書くものは面白いというわけじゃないので、面白く加工されたものを人々が好むのは仕方ないんですけど、そういうことをしていると真理性がないがしろになってしまうんですよね。
日本人は真理性を重んじる宗教的伝統がないせいか、そのへんをバカにしきっているところがあります。
日本人が気にするのは「現状うまくいくかどうか」という場当たり的なことだけですね。原理原則はどうでもよい、という。
在野リフレ派もまた、原理が欠落しています。
原理の欠落を補うためにクルーグマンの権威を借りているのではないか、と思います。

もしFRBが利上げを急げば、アメリカは長い低迷に突入していくことになるでしょう。そうして経済を痛めてしまえば、次にこの間違いを取り返すための術は見つけられなくなる。日本が2000年代に経験したようにです。

急がないようですから、大丈夫なんじゃないでしょうか。

「2%のインフレ目標」を掲げ」ていますが、実際に2%のインフレ率を達成するには、私は「4%のインフレ目標」を掲げるべきだと考えます。

4%のインフレ目標も良いんでしょうけど、黒田日銀が2%を掲げたときにクルーグマン先生は賛成していたような気がするのですが、記憶違いでしょうか。

金融政策で大事なことは多くの国民に物価が上がるということを信用して貰うことです。言い換えれば、4%という大胆な目標を掲げて初めて、2%の物価上昇が実現できるわけです。

2%を天井にするような金融政策だと結果的に弱くなるということなんでしょうね。
それはそうかも。
しかし、4%を掲げるのは政治的に難しいと思います。
世論に反対されないためには2〜3%の幅を持ったインフレ目標にするか、名目GDP目標の方が良いんでしょうね。
ただ、多くの国民に物価上昇を信じてもらわなくてはならない、という部分は疑問ですね。
インフレ率を気にして生きている人は普通いませんし、インフレ率で自分の購買力を測って生活している人がいたら気持ち悪いでしょ。
多くの人はインフレ率の後追いをするだけですし、消費行動で問題にするのは名目の可処分所得だけだと思います。
消費税は数字で目に見えて、自分の購買力の低下が分かってしまうという点が非常に悪い影響を及ぼすのでしょうね。
消費税を上げるとまたもや景気は停滞して、安倍政権が終わるまでパッとしない状況が続いてしまうでしょうから私は反対なのですが、現実には上げてしまうのでしょうねぇ。
参議院選挙でおおさか維新や次世代に躍進してもらって、できるだけ抵抗していただきたいと思います。
消費税反対政党が将来政権を持てば、消費税の撤廃も夢ではないのかもしれません。