参議院選の受け皿

来年の参議院選挙では自民党以外の受け皿が必要だな、と思う今日この頃。
安倍政権を支持しているものの、出てくる政策が利権利権でもうウンザリしているところです。
そろそろ自民党の肝を冷やさせるような、それでいて憲法改正の障害にはならないような受け皿が必要、という考えです。
安倍政権が消費増税を中止できる可能性はよく分かりません。
2014年の中止だって、まったく予想つかないものだったので、予想する意味がありません。
私はもちろん消費増税反対なんですけれども、それとは別に、安倍政権以外に支持できる対象が必要だな、と思います。
個人的な優先順位は、

  1. 正常な金融政策。これ絶対。これがないと、他がいくら良くても支持できません。
  2. 経済政策全般。なかでも構造改革が優先事項だと思います。
  3. 消費税反対
  4. 尊厳死の導入
  5. 安全保障

という感じ。あとの分野はあまり関心がないですし、詳しくもないです。
こういう基準でいうと、まぁ「おおさか維新」か「次世代の党」が受け皿になるのかもしれません。
消費税反対で統治機構改革賛成なら維新、消費税反対で愛国保守なら次世代、という選択でしょうか。両者とも金融政策には賛成しているので、私も問題なく投票できます。
おおさか維新と次世代が消費増税反対を大きく叫んで得票を伸ばすのは、日本政治にとって良いことかもしれません。

レーン

橋下氏が実務に強い高橋洋一氏をブレーンとして重用するのは自然なことなんですが、経済政策については、もう一人二人、ガチンコの学者を探すのも良いと思います。
高橋氏は政治的な行動様式が強く、アカデミックな感じではないです。
橋下氏から見れば学者は政治の素人、という感覚なのかもしれませんが、それはちゃんとした論を読んだことがないからですよ。
世の中には強靭なミクロ経済学者もいますから、知り合いになるのが良いと思います。
岩田副総裁だってミクロに通暁されていますが、いまのお立場では無理ですね。


これは全部支持しますねぇ。
これも支持。
これも支持しますが、こういうのって「財政出動」とは言わないと思います。財政出動というのはふつう、財政を景気対策に使うことです。
橋下氏の案は、構造改革に財政の裏付けが必要というものだと思います。
これは問題・・・
最低賃金の議論に限れば、池田信夫の言い分の方がふつうです。
日本で使われている教科書はふつう、最低賃金は有害であると述べています。
最低賃金制の問題点を一般的な失業率に帰着させるのは、私は悪質な欺瞞だと思います。クルーグマンがやっていますが。
最低賃金で働く層は日本は400万人くらいしか存在せず、その数パーセントが失業しても、全体の失業率が上がるわけないのですから。
問題は、その数パーセントの3分の1〜10分の1は本当の貧困層だということであり、最低賃金を上げてしまうと、再就職が困難になるということです。
本人が「もう少し安い賃金で働いてもいい」と考えていても、政府が禁止してしまうのですから、再就職できない人は生活保護行きか、ホームレスか、自殺を選ぶことになります。
こういうことを書いてしまうのが、高橋洋一氏をブレーンにすえる危険性。
高橋氏は都合の悪いことは教えないと思うので私が代わりに書きますが、高橋氏が属しているニューケインジアンをふくめて、いま一般に言われている失業発生のメカニズムは、「粘着賃金」です。
需要が減ったときに賃金が下がりにくい故に失業を発生させて調節しなければならなくなる、というもの。
私が理解できないのは、失業が発生するのは粘着賃金のせいだ、といいながら最低賃金を上げてしまうところ。最低賃金は粘着どころか、下げられなくしてしまうのですから、そんなことをしておいて需要が減ったら、その層が失業しやすくなるのは当たり前であります。
どうしてこういう矛盾を平気で主張できるのでしょうか。
また、均衡賃金の少し上に最低賃金をターゲットする、と書いていますが、均衡賃金は推定できるだけで、はっきりとわかるものではありません。
もし行政に均衡賃金がはっきりわかるなら、失業を絶対に発生させない政策が可能になってしまいます。景気後退に陥ったときに、「均衡賃金は○○だから、そこまで賃金を下げろ。そうすれば失業はでない」という完璧な社会主義政策ができますから。
そんなことはもちろん出来ません。
均衡賃金という概念自体、「カビのはえた需給曲線」の産物ですから、ここも矛盾してしまいます。
そして、現在失業率が下げようのないところまで来ているから最低賃金を上げる、という主張、これは高橋洋一氏のコラムでも出てきたのですが、まったく意味不明です。
失業率が下がりようがないのなら、放っておいても賃金は上がるはずなので、政府が上げる必要はありません。
どうして最低賃金層だけは政府が上げてやらなくてはならないのでしょう?
ここにだけは経済の法則が存在しないのでしょうか。
高橋洋一氏はリフレ派として貢献度の高い人であり、私も何年間も支持してきたのですが、そのときどきの都合で適当なことを言い過ぎですし、自分の非を認めないで、どこまでも言い張るのは明白な欠点だと思います。
明示的に非を認める必要はなく、最悪でも黙っておけば良いと思うのですが、それさえもしないのなら、正当な批判がされるべきだと思います。
リフレ派には健全な批判が存在しません。
岡田靖氏は、「リフレ派には党派性がある」と述べておられたそうですが、そのとおりだと思います。