インフレ目標を理解していない三橋貴明

本を読まないのか読めないのか、この期に及んで三橋はインフレ目標を理解できておりません。
三橋の場合、経済学そのものを否定しているので当然ではあるのですけど、そういう人間が経済評論で飯を食っている不条理を日本社会は許してしまっているわけであります。
また、経済学を否定しておきながらケインズだのクルーグマンだのといった権威をつまみ食い的に利用したり、バカ話を垂れ流す仲間のうちには経済学らしきものを教えて飯を食っている連中がいたりして、卑劣の極みでございますね。

価の下落とデフレを混同する三橋

私のブログのコメント欄に以前、三橋支持者と思しき人物から書き込みがあったのですが、その人は物価下落とデフレを混同した話をしていました。
三橋のエントリを読んでみたら、案の定、本人が混同していました。
教祖が間違っているようでは、信者が間違うのも当然です。
飽和点(後編) | 三橋貴明オフィシャルブログ「新世紀のビッグブラザーへ blog」Powered by Ameba
原油はほとんどの商品の生産・輸送に関わるのですから、原油価格が下落して物価が下がるのは当たり前であります。
しかし、そういう物価下落をデフレとは言いません。
三橋は本を読まないらしいので指摘しても無駄ですが、ネットを検索するだけでもその違いは理解できますので、マトモな感覚を残している人は検索ぐらいはしてみましょう。マインドコントロールが解けるかもしれません。
原油価格が下がると経済活動のコストが下がります。重要なのは、人件費以外のコストが下がってくれるということであります。
これは経済活動を活発化させる要因になります。
だからこそ、黒田総裁は、原油価格の下落が将来の物価上昇につながるかもしれない、と発言したのだと推測できます。
インフレ目標の目的は生産と雇用を増やすことにあるのですから、原油価格の下落だけを受けて追加緩和をしないと判断するのは当たり前なのです。
原油価格の下落を理由とする物価下落に悩む国なんぞ存在しませんし、もし存在するならそんな中銀総裁は解任する方が身の為です。この辺は三橋お得意の捏造でしょう。
もしそんな国があるなら具体的に挙げてみるべきでしょうね。
また、原油価格の下落によって反対派から日銀が揚げ足を取られてしまうのは、目標をコアCPIにしていることが影響しています。原油価格の影響が少ないコアコアCPIに目標を変更するべきでしょう。ただ、コアコアであっても原油価格の影響は多少は出ると思いますが。

ローバル化への間違った批判

グローバル化によって工場が海外に移転して実質賃金が下がる、と三橋は主張していますが、生産拠点を海外に移せない産業も数多く存在している日本ではこの話は非常に疑わしいものであります。
そもそも日本は雇用にしめる第三次産業の割合がもっとも大きいのですから、製造業の工場が移転するだけで実質賃金が下がるという見方は疑わしいですね。
実質賃金うんぬんという話では、三橋と民主党の主張が完全に一致しているのですが、とても不思議なことですね。
あまりにもそっくりなので、知恵をつけている誰かが共通しているのではないかと思ってしまいますし、まさか三橋自身が民主党に入れ知恵しているということはないでしょうね。
三橋はなんちゃって保守であるにはせよ、一応は保守なのですから、民主党のような日本人大嫌い勢力と協力しあっているように見える現状をまずいとは思わないのでしょうかね。
で、根本的に私は疑問なのですが、工場が海外に移転して、製造業労働者の賃金は下がるのかもしれないのですが、その場合下がるのは名目賃金ですよね?
どうして実質賃金が下がるのか理解できません。
いくら三橋でも実質とは物価を考慮したものだということは分かっているはずなんですけれども、工場を移すという、物価には何の影響も与え得ない局所的な行動がどうして実質賃金を下げるのでしょうか。
仮に名目賃金が上がったとしても、消費増税したら実質賃金は下がるわけで、実質賃金は個々の企業が左右できるものではないはずなんですが。
また、実質賃金が下がると消費が下がるという、経済学を否定しているわりには経済学の教科書に書いてあるようなことを三橋が述べていますが、経済学の重要な前提は、「ほかの条件が変わらなければ」ということであって、斜め読みした知識では三橋のように間違ったことを書いてしまうことになります。
現実の経済では「ほかの条件が変わらない」ということはないので、初歩の教科書以上の研究が必要になっているわけで、入門教科書と同じくらいに現実の経済が単純なら学者は要りません。
実際の世の中では実質賃金が下がるときに、雇用が増える場合もあれば減る場合もありますから、消費が増えるかどうかは結局は雇用次第ということになるはずです。
前々から指摘されていることですが、三橋が実質賃金だけで経済全体を語ろうとすることや、実質賃金が下がることが悪いことだという前提に立っているのは途方もない間違いであります。
三橋のエントリを読む限り、インフレ率が下がるのは経済に悪影響があると考えているようですが、インフレ率の上昇は実質賃金を低下させるのですから、矛盾したことを言っていることになるのですが、矛盾したことを書いていて気づかないというのも三橋のブログではお馴染みですし、本人も信者も矛盾に気づかないのですから、手の施しようがありません。
ぶっちゃけた話、一時的に、まぁ数年間は実質賃金が下がっても雇用と生産が増えるのであれば経済が上手くいっていると考えて良いのだろうと思います。
それに実質賃金を上げる手段は賃上げだけではなくて、規制改革で商品の価格を下げていく方法もあります。
もちろんこれはデフレではありません。物価と価格は違いますので。
人々の日常生活で頻繁に利用される商品、たとえば農業における重要五品目の関税をゼロにできるくらいに価格を下げれば、人々の実質賃金は上昇し、生活水準は向上します。
これらのような幾つかの商品価格を下げても物価全体が下がることはなく、いいこと尽くめなのですが、そのような改革に反対しているのがなぜか三橋たちなんですよね。
三橋やその仲間は国民の実質所得を増やす改革にどうして反対するのでしょうね?