円安・株高・消費増税

程度はともかくとして、正しい方向の金融政策を日本が行い、アメリカが緊縮財政にも関わらず金融政策の成果で景気回復してきて、金利を上昇させる観測が出てきたことによって、9月に入ってから結構な円安と株高になっていまして、良いことであります。
この状況が一ヶ月半くらい続くと、実体経済にもプラスの影響がではじめるのではないかと思いますし、日本がインフレ目標を達成するまで続いて欲しいものです。
インフレ目標達成という点になると、日銀は公式にはコアインフレ率を目標にしていますが、それをコアコアインフレ率に変更して、生鮮食料品やエネルギーなど、価格変動の大きなものを除いた指標で判断するべきだろうと思います。

与も上昇

15年デフレに比べれば遥かに良くなった経済状況を反映して、雇用が改善、給与も上昇しています。

民間給与3年ぶり上昇 5万6千円増の年413万6千円 正規、非正規の格差は拡大
産経新聞 9月26日(金)17時17分配信
 民間企業で働く会社員やパート従業員が平成25年の1年間に受け取った給与の平均は前年比5万6千円(1.4%)増の413万6千円で、3年ぶりに増加に転じたことが26日、国税庁の実態統計調査で分かった。年間を通して企業に勤務した給与所得者数も昭和24年以降最多となるなど、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」効果が現れたとみられる。一方、非正規雇用者の平均給与額は前年比で減少しており、正規雇用者との格差は拡大した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140926-00000544-san-life

消費税の影響を除いた物価上昇率は1%台前半だという話ですから、大体同じくらいは給与が上昇して、人々の生活水準は横ばいというわけです。
消費増税をしなければ経済はもっと好調だったでしょうから、もしかしたら人々の生活は良くなったかもしれないのに、実に残念なことです。
正規・非正規間の給与の格差が拡大したとのことですが、正規・非正規ともに雇用は増加していますから、まずは肯定的な状況です。格差の縮小は金融政策でやるのではなく、財政政策や構造改革でなされるべきことだろうと思われますので、こういう点こそ政治家の出番なのですが、果たしてやるきがあるかどうか。

増税のゆくえは?

消費税を再度あげるかどうかは12月に判断するのだそうで、7〜9月の経済成長率をみるのですね。この期間の経済成長率は大して良くないだろうと予測されます。正常な判断基準が存在すれば、消費増税は延期すべきですね。本田参与のいうとおり、1年半は伸ばすべきです。以前、「半年でも延ばしてくれれば大成果」と私は書いたのですが、考えてみるとそのような延ばしかたでは自民党総裁選や衆院選に影響が出てしまいますから、それらを跨ぐような延期でなければ行われえないですね。
ただ、1年半も延ばさなければならないとなると、官僚とその周辺の利益集団は承知しないでしょうね。増税するのが官僚の栄達に直結するのであれば、増税延期は彼らにとって有り得ないことです。経済政策はカレンダーの予定どおりにやってはいけない、実体経済の調子を見ながら調整しなければならない、と言われますが、このような現実的な経済政策は官僚のドグマとは根本的に相容れないものであるということになります。
そして、日本における官僚権力の強大さを思えば、消費増税の延期には悲観的にならざるを得ません。個人的にはコンティンジェンシープランとして、金融政策の強化が行われうるかどうかに注目しています。
消費再増税が避けられないものであるなら、その影響を相殺する金融政策の強化の約束を財務省とかけあって勝ち取る方向をとるのが良いような気がします。