実質賃金が上昇か

左翼と偽装保守の一本の矢、「実質賃金が下落しているからリフレは失敗」説に崩壊の兆しであります。
最近の金融経済情勢と金融政策運営

物価動向を勘案した実質的な賃金は、最近まで下落が続いていました。しかし、4月の消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースでみると、一般労働者については6月、パートタイム労働者についても7月には、それぞれ上昇に転じました

資料はリンク先をご覧下さい。
左翼と偽装保守の思いつきの命は予想どおり短いものでしたが、次はどんな手で足を引っ張りに来るのか楽しみです。
知性の裏付けのない思いつきは現実によって否定されてしまいますので、次はもっと考えましょう。

ンフレ予想

興味深い一節。

インフレ予想の高まりは、先ほどご説明したような、「予想実質金利の低下による総需要の拡大」というルートとは別に、現実の物価上昇率を直接的に押し上げる効果も発揮します。人々が将来の物価上昇を予想すると、その予想を前提として価格や賃金の設定をするようになるからです。

需給ギャップがデフレ方向にあってもインフレになる実例が存在しますが、そこにはこの辺の事情が関係しているのかもしれませんね。「予想」の威力は大きいです。

安否定論に関して

このような状況から、日本銀行としては、先ほど申し上げたとおり、2%の物価安定目標は達成できるものと考えていますが、当然ながら、そのことに否定的なご意見も聞かれます。代表的なものは、「現在の物価上昇は円安による輸入物価(特にエネルギー価格)の上昇によるものであり、その効果が剥落すれば物価上昇のペースは下がるに違いない」という議論でしょう。
しかし、実際のデータを確認すると、「量的・質的金融緩和」以前は、為替レートの変化と物価上昇率の間に、有意な相関は見出せません(図表16)。
つまり、円安が物価上昇をもたらすという関係は、必ずしも成立していないのです。
この理由を簡単にご説明すると、「他の条件を一定とした場合、円安などによって輸入品の価格が上昇すると、それ自体は物価の上昇要因である一方、そのことによる実質的な所得の減尐は、輸入品やそれ以外の財・サービスに対する需要を減尐させ、それらの価格を引き下げる効果をもたらす」ということです。例えば、ガソリンの価格が上がったら、車の走行距離を抑えたり、他の買い物を控えたりするようになることをイメージして頂くと、理解しやすいのではないでしょうか。

次も重要。

このように、円安などを原因とした特定の財・サービスの価格上昇が、全体としての需要や物価に対して最終的に及ぼす影響は、様々な波及効果の集積として決まってくることであり、一対一の関係として語れるものではありません。言い換えると、ミクロの変化を単純に積み上げても、マクロの変化を予想することはできないということです。

財政政策が好きな人は、というか普通は一対一の対応を考えてしまうのですよね。イメージしやすいから。同じようなイメージで金融政策を捉えている人は、「日銀が出したカネで効果がうんぬん…」といった話をしがちです。それしか無いような語り口で。

需給ギャップの改善によって供給面の課題が浮き彫りになってきた今こそ、資本ストックの蓄積、労働人口問題への対応や規制・制度改革を通じたイノベーションの活性化などの成長戦略を着実に進め、潜在成長率の引き上げにつなげていくことが強く期待されます。
もっとも、ここで成長力強化の重要性について触れるのは、それが物価安定目標達成の必要条件だと申し上げる趣旨ではありません

構造改革は必要ですけど、それはデフレ脱却の手段としてではないということです。別の意味で必要だということ。
経済の伸びしろを増やし続けるからこそ、金融政策で需要拡大する意味もあるというもの。この辺は浜田参与も同様の発言をしており、まっとうな意見であります。

もっとも、デフレ不況下では、規制緩和を通じた競争促進政策などによる痛みに対して、強い抵抗が生じるため、構造改革も進めることができません。
だからこそ、デフレから脱却して、中長期的に2%程度のインフレを維持する金融政策が、構造改革を進めて潜在成長率を高めるための必要条件であるというのが、副総裁就任以前からの私の一貫した考えです。

やまもといちろうと藤井聡はたまには本を読め。