「マーケットマネタリストがケインズの真の継承者」

ちょっと前の記事ですけれども。
TheMoneyIllusion » Keynes understood, why can’t New Keynesians?
「一般理論」からの引用が長いので、山形氏の翻訳を利用されると良いでしょう。
http://genpaku.org/generaltheory/general04.html
サムナー教授のエントリから、興味深い部分を要約。

  • 物価と産出をマクロ経済分析に用いるのは間違っている。
  • 名目GDPと雇用を用いるべきである。
  • インフレーションはきちんと定義できないし、測定もできない。
  • 産出量のデータも誤解を招きやすいものだ。
  • インフレ率は、長期の経済成長を見積もる大まかな道具でしかない。

えっと思う記述ですが、ケインズの「一般理論」四章を読むと、ケインズも「産出量や一般物価水準は定量分析に不要」と書いているんですよね。
再び要約。

  • GDPの「貨幣的価値」の変動が、雇用量の変化を引き起こす。それだけ。
  • 総需要とは名目GDPのこと。実質GDPではない。量の変化で判断してはいけない。

GDPの「貨幣的価値」って名目GDPですね。
上記の話を私が理解できているわけではないのですけれども、一つ連想するのは、15年デフレ期にはびこった詭弁として、「デフレであっても実質GDPが成長しているのだから不況ではないのだ、貧しくなっていないのだ」というもの。教科書的には確かに、実質GDPの成長が経済の成長です、という風に書いてあるので、それだけを鵜呑みにしていると、この詭弁に反論できなくなってしまうんですよね。デフレで社会が現実に酷いことになっているのにも関わらず。
貨幣が経済に対して持っている意義をまだまだ理解する必要があるみたいです。