田母神俊雄の「経済観」

「女を働かせると少子化が進む」と言いながら、自分の選挙のときには女を働かせる田母神俊雄の発言について考えましょう。

セクハラやじを肯定する田母神の下で働かされる女性も大変ですね。

田母神が女性の就労に反対する理由は、ロスチャイルドとロックフェラーの陰謀だからだそうです。ふーん。

少子高齢化問題に対する田母神のプランは、「政府が誘導して大家族制度を再形成させ、老人の世話を女性にみさせる」、というもの。

このプランだと、父親は必ずその土地で働くか、仕事を求めて単身赴任するか、大家族全員を連れて仕事をする土地へ移住するか、を選ばなくてはならないですね。こういう経済社会であっても、田母神の脳内では「日本経済が発達し、みんな幸せ」になるようです。自衛隊員はこれを実行できるのかな?
田母神は公的年金制度にも反対しているようですが、仮に大家族制度を誘導したとしても、公的年金がないと父親の負担が大変なものになるでしょう。三世代を父親の所得だけで養うとき、人々は豊かな生活を送ることができるのでしょうか。

この辺から言っていることが「三橋・藤井・中野」臭くなってきます。
(以下、「三藤中」と表記)
詭弁を弄する人間の特徴は、「一つの文章の中で矛盾をきたすこと」ですが、このツイートもそうなっています。
「デフレは供給過剰」といいながら、対策として「需要を増やせ」と言っている。田母神や三藤中の脳内では供給過剰も需要不足も同じなのでしょう。おそらく彼らは「同じことを違う側から表現しただけ」と考えているでしょうが、その2つは別物です。
たとえば、生産性を向上させてモノとサービスの量が増えたり、或いは価格が低下したりした場合、それは有害な現象なのでしょうか?
違いますね。
生産性の向上による増産、或いは価格低下なら、リストラも賃金低下も発生しませんから、人々の生活水準が上がるだけです。もし広範に価格低下が発生して物価が下落したとしても、悪影響はありません。
三藤中はこの辺りを常に混同していますし、田母神も同じ間違いをしています。
TPPが巷間いわれているほど効率の良いものになるかどうか分かりませんが、農産物が安価に輸入され、国産農産物も価格低下するのであれば、一般国民の生活は豊かなものになるでしょう。
国内農業を効率化したとしても、集約のために農地を貸し出す農家には地代が入りますし、生産する農家には補助金が入りますから、困ることはありません。欧米では農家に直接支払いを行い、低関税の貿易にも適応できるようにする政策が普通です。
農産物価格を高くつり上げて、そのために関税も高く保たなければならない日本のやり方は、一般国民の生活を抑圧し、農業も衰退させています。
田母神はそのような状況を理解していません。

このツイートなどは、三橋のレクチャーを丸写しにしているようですが、実にバカげたことを書いています。
日本企業が韓国企業と取引をするのが、「お恵み」だとでも考えているのでしょうか。
日本の会社が韓国の会社と取引をするのは、それが有利だからで、もし他国の企業と商売するのと変わらないのであれば、もっと分散していることでしょう。
こういう愚かな考えだから、「韓国に経済制裁しろ」といった発言が気軽に出てくるのです。

田母神の頭の中では経済は戦争と同じであるようで、どちらかが一方的に強いことがあり得ると思っているようです。植民地の発想ですかね。
八百屋と客を比較した場合、田母神的世界では八百屋の方が強いということになりますが、普通の社会生活を送る程度には正常である私のような人間には想像しづらい世界です。

おお、又も三橋的なんちゃって経済論。
これらのツイートではなんと談合を肯定しています。談合は契約としては無効、刑法にも引っかかる行為なのですが、田母神くらいの極右になると犯罪もどうってことないわけですね。
ま、実際は知らないだけなんだろうけど。
東日本大震災のような巨大災害の復興において建設供給力が不足するのは当たり前の話で、平時からそんな供給力を維持しようとしたら、税金で養うか作業員の賃金を低く抑えるかしなければならなくなります。
「供給力を増やしたらデフレになる」のではなかったのでしたっけ?
藤井聡と同じ矛盾を露呈してますね。

建設作業員の給料が低い原因が競争入札
重層下請け構造の問題は無視?
競争入札が低賃金の原因なら、競争入札を採用している国では全て建設作業員の不足が発生することになるのでしょうが、裏付けになるデータはあるのですかね。
また、「昔は建設の給料が高かったから作業員を確保できた」という発言は単なるウソです。
建設業の就労者がもっとも多かったのは1997年ですが、このときでも労働者の賃金水準は他の産業とくらべて低いです。
逆に、建設業就労者が激減しても、賃金水準はさほど下がっていません。


田母神の説は、事実にもデータにも立脚しておらず、この辺の傾向は三藤中と共通しています。

よく指摘されることですが、建設労働者の賃金を上げたとしても、いまの必要を満たすことはできません。技能労働者がすぐに現れるわけではないからです。実際に今、建設労働者の賃金は上昇していますが、技能労働者不足は解決していません。
労働者の数、といった供給能力の調整には時間がかかるのが常識的にいって当たり前で、こういうものが「瞬時に調整される」と想定するのは新古典派経済学的ですね。
三藤中はこの点に関しては実は新古典派的なんですよね。