集団的自衛権より経済が問題

集団的自衛権の行使が容認されたということで、なかなか画期的な感じがするのですが、詳しい人の意見を読んでみたい気がします。
「無理なんじゃないか」と考えていたので、よくやれたなぁと思いますが、集団的自衛権を容認したところで、当面は何も変わらないです。
憲法の許す範囲内でしか自衛隊の行動はできないわけですし、アメリカ軍が攻撃されでもしない限り、日本が何かすることはないでしょう。で、アメリカ軍がおおっぴらに攻撃される事態は考えにくく、テロ程度で自衛隊が戦闘に参加するのも考えにくいですね。そういう場合には何かしらの協力といった種類のことにとどまるでしょう。
集団的自衛権の容認によって当面は安倍政権への支持率が下がると思いますが、それよりも決定的にマズイのは、最近の経済データが消費増税の悪影響をモロに反映していることです。
消費が8%おちたとか、在庫が積み上がっているとか、住宅投資が15%減ったとか、企業の景気見通しが悪化しているとか。
集団的自衛権の問題は、何年とか何十年とかいうスパンで問題になる話ですが、経済の悪化は今年か来年にでも安倍政権の基盤を揺るがします。自民党内の反安倍勢力は、ここぞとばかり攻勢を強めるでしょう。
安倍政権は、安部首相の本懐とは異なり、国民に対して経済を回復させる約束をして成立しました。経済が良ければ、集団的自衛権うんぬんという話はそのうち立ち消えになるでしょう。すぐに何かが起こるわけではないのですから。
しかし経済では、すぐにでも国民生活や先行きへの見通しに影響が出ます。一般国民にとってリアルな危機は戦争ではなく生活不安です。
このような根本を忘れ、「国家観」のようなイデオロギー的問題に「うつつを抜かし」続けるなら、非常に近い将来、安倍政権は窮地に陥るでしょうし、それは日本や日本国民の窮地であります。
今のところ、安倍政権の他には日本の経済問題に相当程度に正しく対処できる政権は存在せず、自民党内の反安倍勢力が政権をとったならば、民主党政権と大差ない愚行を始めることでしょう。
集団的自衛権で湧き上がった日本にとっての不安な未来とは、決して戦争ではなく、経済の再後退を通じた社会の荒廃、国力の低下、であることでしょう。