国土強靭世界は2010年で止まっている?

Twitterで回ってきた秀逸なブログエントリです。
疑惑のグラフ | 猫の遠ぼえ『次の世代に残したい日本』
このエントリには感心させていただいたので、私もソースを探してみました。このリンク先の、表紙から数えて4ページめをご参照ください。
平成26年2月から適用する公共工事設計労務単価について

国土交通省が出したグラフだと、現在の労務単価は平成12年(2000年)くらいの水準にまで戻していますね。
平成12年といえば、建設業の就業者数は650万人くらい居た年なので、「労務単価を上げれば人は集まる」という、三橋・藤井の主張は現実と整合しませんな。
注意が必要なのは、労務単価は賃金ではない、ということです。現実の賃金は建設企業が決めていて、国は賃金について何ら縛りをいれていませんから、労務単価が高くなっても末端の労働者はピンハネされまくりで低賃金、ということもありえます。
建設労働者が集まらないのが、待遇の悪さという構造問題であるなら、この辺をおさえておく必要があると思います。
実際、国からもその辺について要請が出ています。
http://www.ejcm.or.jp/new_07ronbun/monthly/1309/1309-02.shtml

4月18日、太田国土交通大臣は建設業団体(日本建設業連合会全国建設業協会、全国中小建設業協会、建設産業専門団体連合会)に対し、 1.適切な価格での契約 2.建設技能労働者への適切な水準の賃金支払い 3.社会保険への加入の徹底等について要請した。

これらの要請を、解釈を入れて読むと次のようになります。

  1. やたらと安い価格で受注して、ピンハネしてから実際の仕事を下請けに丸投げするのをやめなさい。「現実に安い給料で働くのは下請けなんだから、安かろうが何だろうが競争して受注する方がピンハネできて得じゃん?」という考え方を改めなさい。
  2. むやみにピンハネするのをやめなさい。労働者にちゃんとカネを渡しなさい。
  3. 社会保険にも入らせずに労働者を使い捨てにするのをやめなさい。