金融政策と構造改革が重要

慣れているせいか、だましの芸が細かい。実にさりげない。

デフレの解決策は総需要拡大政策、すなわち政府の「通貨を発行して、借りて、使う(所得になるように)」になります。構造改革規制緩和系の政策は、デフレ対策ではありません。
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/

赤文字部分、要りません。政府が使うことはデフレ脱却に必要ではありません。金融政策だけで総需要を拡大させる道があります。
現実に、2013年の第一四半期は政府支出の拡大なしに名目GDPが成長しました。

需給ギャップ悪化(デフレギャップ拡大)を問題視するなら、普通に財政政策拡大政策を主張すればいいものを、なぜ「金融緩和と構造改革」という結論になってしまうのか謎ですが(以前の白川前総裁も同じようなことを言っていましたが)、いずれにせよ安倍政権の成長戦略という名の構造改革は、デフレ促進策です。

まず、需給ギャップを縮めるのに役立つのは財政政策だけではありません。ここにもさりげない欺瞞。
次に、金融緩和と構造改革の重要性がわからないのは三橋の理解力が粗末だから。金融政策と構造改革の組み合わせによって、うまくいくとインフレ率を低めに保った経済成長が保てます。
また、構造改革がデフレ促進策などというのは馬鹿げているとしか言いようのない言説です。
三橋の言うとおりに構造改革がデフレ促進策であるなら、企業や労働者が生産性を向上させるのもデフレ促進策だということになり、人々は永遠に高コストでだらだら働くふりをしていれば良い、ということになってしまいます。そんなことでは私たちの生活水準は良くなりません。
カネ=生活水準、という、三橋の低劣な経済観がここから読み取れます。
高コストでだらだらしているのが良い、という主張は、公務員や農協や社会福祉法人が大喜びしそうな思想であって、喜ぶあまりに講演会に呼んでくれそうなほどです。

(A)デフレーション:物価の下落が「所得の縮小」を引き起こし、国民の実質賃金が下落し、貧困化する
(B)デフレーション:物価の継続的な下落
 わたくしは、もちろん(A)の定義に基づき、「デフレ」という言葉を使っています。

それはウソをまき散らしていることになりますので、やめるべきです。
デフレはあくまでも「物価の継続的な下落」であって、実質賃金うんぬんは余計です。この言い草は、他人から批判されたときに、「自分の使っている『デフレ』の意味は貴方とは違うから。」と言い訳するための予防線でしかありません。非常に卑劣な論法だと思います。

今後の流れとしては、実質賃金の下落が需要を縮小させ、さらに構造改革系の政策が潜在GDPを「引き上げる」ことになります。結果、デフレギャップが拡大し、物価下落、所得縮小の悪循環が再び始まるわけです。日銀は金融緩和を拡大するかも知れませんが、お金が「消費」「投資(住宅投資、設備投資、公共投資のみ)」に使われなければ、物価には影響を与えません(日銀当座預金に積み上がるか、もしくは金融資産の購入に回るのでしょう)。

まず、実質賃金の下落が需要を縮小させるとは限りません。これから先に需要が減少するとしたら、それは消費税のせいです。三橋自身が書いていることですが、これまで実質賃金はわずかずつ低下していますが、名目GDPは増えているわけで、それはつまり、実質賃金は低下しているが総需要は増えているという意味です。自分で書いていて矛盾を感じないのでしょうか?
次に、構造改革をして物価が下落するとは限りません。なぜなら、デフレギャップが存在することがデフレに直結するわけではないからです。この辺の理解も三橋は低劣。実際に、去年のアメリカにはデフレギャップがありましたが、デフレにはなっていません。
そして、日銀が金融緩和を拡大すれば、物価に影響を与えます。金融緩和が消費や投資に影響を与えるからです。政府支出は必ずしも必要ではありません。金融緩和が総需要に影響をあたえる筋道を三橋が知らないだけです。
三橋はさかんに、「日銀当座預金に積み上がるだけ」と言い張っていますが、現実のデータを見るとマネーストックは増えていますし、銀行貸出も増えているので、三橋の主張は現実とかみ合いません。データを見ていないことが良く分かります。
また、金融資産の購入にカネが使われることでもデフレ脱却に効果があります。それはマネーストックを増加させたり、金利に低下圧力をかけたり、株価を上昇させたりするからです。銀行貸出だけに効果があると思っているのは三橋の素養が足りないからに過ぎません。