三橋・藤井が決して書かない事情

土建業界に人を集めるために受注金額を増やせ、と国土強靭派は言いますが、すでに大幅な増額がなされています。
http://www.shinko-web.jp/improve/000446.html

法定福利費の賃金水準への反映を徹底すべく、平成25年度公共工事設計労務単価の大幅な引き上げ(全国15.1%、東日本大震災被災地21.0%)が実施された。さらに、この2月からは、全国平均で7.1%の引上げが行われており、平成24年度比で23%という大幅な引上げとなる。

そうであるにも関わらず、「労働者の賃金は上がっていない」と三橋・藤井は主張するわけですが、私はその主張には疑問を抱いており、賃金が上がっても技能をもった人間が払底しているのだと観察していますが、仮に国土強靭派の言うとおりに「労働者の賃金は上がっていない」のだとすると、公共事業の労務単価の引き上げ分は、全てピンハネされていることになります。
元請けや、元請けとつるんだ一次請けなどが全面的にピンハネしているのであれば、どれほど受注金額を引き上げようと労働者の待遇は変わらず、人は集まらないことになります。
そのような搾取を防止するためには、公共事業では労働者に払う最低賃金を公定してしまう方法が考えられます。

賃金水準是正のもう一つの動きが公契約条例の制定である。地方公共団体が契約する事業において支払われる賃金の最低水準を当該公共団体が決めようとするもので、2009年の野田市以降条例制定団体が増加しつつある。現在、川崎市、多摩市、相模原市国分寺市、渋谷区、厚木市、足立区(本年4月1日施行)を加えて8公共団体が最低賃金水準を含む公契約条例を施行している。

公共事業に限って言えば、労働者に払う金額を自治体が決めてしまうのは有効ではないかと思います。それは実質的に、臨時の公的雇用になるからです。
それにくわえて、下請け構造は一次か二次までに規制することも必要だと思います。
土建業界では、本当に作業をする中小・零細業者にカネが回るころには散々搾取されて僅かな金額しか届かないという風習があり、元請け企業は自前で作業する能力を喪失していると言われています。いわば、搾取専門企業となっているわけです。
これでは派遣企業などより余程悪質な「口入れ屋」と言われても仕方ないと思われますが、三橋・藤井はこれらの実態について何ら言及せず、ただひたすら、「公共事業の労務単価を上げろ」と主張しています。
公共事業の単価引き上げは、私たち納税者の負担増を意味するわけですが、国土強靭派は他人のカネを無駄遣いすることにかけては特に何とも思わない集団であるようです。