マーケット・マネタリズムの興味深い視点

TheMoneyIllusion » Paul Krugman is dismayed that the conservatives he pays no attention to are not saying the things he’d like them to say if he did listen to what they said
このエントリの中盤以降に、他では見られない興味深い視点が語られています。

三番目は分かるんですけれども、一番目、二番目の後半は分かったような分からないような感じ。日本の経済学者からもどんどん批評されるようになると参考になるのですけど、今のところポツリポツリとしか言及されていないので、専門知識が不足している身としては隔靴掻痒です。
私は門外漢なので学派同士の論争には関心が薄く、日本経済の建て直しやインチキ評論家をぶちのめすのに役立つならどの学派の意見でも参考にしますので、今はケインズについて読書しています。しかしケインズ支持者にはならんですね。所詮は門外漢なんで、忠誠心をもった支持者になる意味がありません。そういう意味では、経済でも政治でも、一文の得にもならないのに所謂「御用一般人」が散見されることが不思議でしょうがないですね。仮想の共同体なのでしょうか?
マーケットマネタリズムが興味深いのは、アメリカや日本で現在起こっている現象を割と納得できる形で説明していること、マーケットマネタリストによる経済予測が割と当たること、普通目にしないような、常識を覆す視点を持っていること、などがあります。
マーケットマネタリズムアメリカでは異端視されているらしいのですが、私はリフレ派の本を読んだ素地のもとに彼らの主張に触れたのでそんなに違和感を持たなかったのですが、そこも面白いところです。「結局は名目GDPを見るんだ」という主張は、向こうでは変に思われているような気配があるのですが、岩田副総裁が「デフレと超円高」の中で、「名目GDP成長率を4〜5%に保つことを念頭において3%の伸縮的インフレ目標を設定するべきだ」と書いておられたのに私はふれていましたから、おかしいとは全然思いませんでした。岡田靖氏が2003年ころに「名目GDP率目標が良い」とネットに書き込んでいるのを読んだときにも、「発想に共通点があるのかねぇ」と因縁を感じました。
リフレ政策とマーケットマネタリズムには近いものがあると私は思うのですが、日本でマーケットマネタリズムがイマイチ支持されないのは、言ってしまえば、クルーグマン教授のファンが多いからではないかと考えるのですよね。マーケットマネタリズムクルーグマン教授を頻繁に批判しているので、「心情的に」敬遠されているのかもしれません。
この点について、私たち一般人は無節操であるべきだと思うんですよね。どの学者や学派を日本のために参考にしようと、私たち自身の職業やステータスとは無関係なのですから。学者として生きるなら、「どの学派が有力か」というのは学問的にも人生的にも大問題ですが…。
クルーグマン教授にせよスティグリッツ教授にせよ他のどんな学者であっても、アベノミクスにとっては重要な支援者であるなら、「まぁまぁ」って感じで細かいことを言わずに協力していただいたらいいと思うんですよね。そういう態度は学問的、政策論的には矛盾をはらむわけですが、アベノミクスにとって最も厄介な敵は理性的でないプロパガンダが蔓延することです。そういうものが勝利をおさめてしまうと、いくら厳密で正しい政策提言をしても抹殺されてしまいますからね。多少いい加減であっても、協力してもらえる、参考にできる繋がりは広く持つのが良いだろうと考えます。
そういう観点で、マーケットマネタリズムがもっと注目されて、肯定的であれ批判的であれ、検討されて語られることを期待したいですね。