ケインズのモデルでも金融政策が優先するのではないか?

経済学のことば (講談社現代新書)

経済学のことば (講談社現代新書)

138〜139ページの要約。

  1. 人々の貨幣愛が強くなり、利子率が高止まりする
  2. 大衆心理が不安定化し、予想利潤率が低下する
  3. それらによって投資が低下する
  4. それゆえ国民所得と雇用も低下する
  5. つまり、非自発的失業の究極原因は貨幣愛である

ここから引き出される政策提言は、

  1. 第一に、中央銀行国債などを買い上げて流動性を供給し、利子率を下げること(国債などの時価が上がるので、利子率が下がる)
  2. 第二に、それでも効果がなければ財政を赤字にしてでも公共事業を行うこと

しかし、ケインズ政策といえば公共事業、といった通俗的な理解が広まってしまった。ケインズの主要著作には全て「貨幣」という文字が入っているくらいの貨幣専門家なのだが…
このようなことが勉強になりました。
山形浩生氏による「雇用と利子とお金の一般理論」の要約版は以下。
Keynes "General Theory" Digest
財政政策は「景気対策」の美名の下に、利権亡者たちに悪用されすぎです。田中角栄以来40年も自然環境・社会環境・財政状況を悪化させてきたわけですから、もうそろそろ脱却しても良いころです。
財政を使わなければどうしても景気回復ができないというならまだしも、どうもそうでも無さそうなのは、現在のアメリカの景気回復を見ていると分かります。
今のアメリカは歳出削減と増税を両方行う緊縮財政の真っ最中ですが、金融政策のパワーによって再生しつつあります。