クルーグマンが駄目ならスティグリッツがいるさ♫

世界の99%を貧困にする経済

世界の99%を貧困にする経済

クルーグマンと俺の考えは同じ」とさんざん吹聴した三橋貴明が、方々から「ぜんぜん違うぞ」と突っ込まれ、今度は「スティグリッツと俺の考えは同じ」と言い始めました。
常にノーベル賞受賞者と「俺は同じ」と言ってのけるあたり、「俺も実はノーベル賞級」と暗に匂わせてはったりをかましているわけで、営業上手な人です。
しかしまぁノーベル賞受賞者ばかり引き合いに出すのは誇大妄想もいいところで、肩を並べるには三回ほど生まれ変わらないと無理でしょう。
スティグリッツの「言葉」とされるものを並べてエントリを書いていますが、国土強靭・反TPP派評論家の特徴は、だいたいいつも主張が間違っているかウソをついているかなので、本当に三橋のエントリ通りの発言をスティグリッツ教授がしたかは怪しいものです。
特に、

アメリカには十分な規制がなく、資源配分を間違え、不平等等の問題が生まれた。
「不平等が当たり前な状況は、企業が利益を独占あるいは寡占化するために行うロビー活動、いわゆる『レントシーキング』を誘発する。実際に多くの企業がリッチになり、独禁法に反対するような動きをしている。 」

この記述はおかしいですね。
恣意的なまとめ方をしているような気がします。
規制がないのにレントが発生するというのはどう考えてもおかしい。
ある業界に有利な法律がなければレントは発生するはずがない。
三橋はふだん、「自由競争は物価を低下させる」といった、物価と価格を混同した発言をしていますから、「規制のない自由がレントを発生させる」という主張に三橋が賛同しているのは矛盾というものです。
レントを獲得するためのロビー活動というのは、自分たちに有利な法律を作らせる活動のはずで、それは自分たちに有利な規制を意味するはずです。
ただ、三橋の「新古典派経済学批判」はスティグリッツ教授の主張をパクったものではないかという見方もあるので、教授のどの著作が「ネタ本」なのか突き止めてみようと思います。

上記の問題を解決するには、しつこいですが中央銀行が発行した通貨を、財政政策により実体経済の方向に振り向け、中間層を中心に「所得がある程度平等に拡大していく」環境を構築しなければなりません。

国土強靭派がよく言うこの部分、これがよく表れているのは中野剛志の本ですね。こちらは突き止めました。
それへの否定はおいおいやりたいと思いますが、財政政策で通貨を実体経済に振り向けないと駄目なんだ、という意見は現実によって否定されていますね。
2013年の1〜3月期には通貨の増発すらありませんでしたが、名目GDP成長率は年率換算で2.2%でした。
一方で、7〜9月期には公共事業が増やされていましたが、名目GDP成長は年率換算で1.6%に過ぎませんでした。
公共事業は費用が全てGDPに算入されますが、それでも成長率は下がってしまったのです。
それは、公共事業は成長率を押し上げる力が弱いということの証拠です。