さらに円高、株価下落…どこまで落ちる?

消費増税決定で日本経済への信認が下落してしまい、アメリカも債務上限問題や医療保険問題で揉めて株価が下がっている影響で、円が上昇、日経平均もずるずる下がっています。
黒田総裁も予想どおり、動きを見せませんでした。
2014年4月に金融政策の改良と拡大が行われるならば希望は持てますので、今後半年くらいはそれを要望していかなければいけませんね。
原発事故とは違って、消費増税の悪影響を打ち消す手立ては有るんですね。
正しい対策がいくつも存在していますし、岩田副総裁なら求められれば複数のオプションを示すことができると思います。
ただ、金融政策は既得権益層にとって特有の利益にならないので関心をひきにくいものなんです。
これまでの10ヶ月間に多くの人々が目撃したとおり、金融政策の威力は非常に強力で根幹的なものです。
金融政策が全ての人々、大金持ちからホームレスに至るまで恩恵を齎すものであるにも関わらず、社会の上層で得をしている人たちにとっては、「俺たちだけに儲かる、俺たちだけが有利になる、俺たちだけが気分の良い政策」が必要なのです。
他者、いいかえると私たち庶民、彼らから見れば下層階級に大差をつけて、きわめて侮辱的に、権勢欲を満足させる政策でなければ、既得権益層は喜ばないんですね。
物質的満足のみならず、社会的、精神的満足が揃わなければ効用足り得ないというわけです。
人間にとっての勝利感、達成感は他者との比較のなかに存在するということ。
だから彼らは、財政政策だけにこだわるのですし、財政の価値を相対化する金融政策は邪魔臭い存在なのです。
そのような層に唯々諾々と従う、賢く出世できる人である黒田総裁が、2014年4月に金融政策を改良するという見込みは、残念ながら私は持ちません。
もし黒田総裁が効果的な行動を起こしたなら、その意外な展開に大喜びすることになるでしょうが。
れからの展開を考えると、
メディアなどへの軽減税率実施⇒2015年の消費再増税⇒2016年の選挙で自民党敗北(デフレ脱却プロセスは減速する中で)
というスケジュールが今、決まってしまいました。
特定業界への軽減税率や消費再増税は社会的不正ですから、私はもちろん反対ですけれども、やってしまうでしょう。止めるのはちょっと無理ですね。
これらについては反対を唱えつつも、推移を見守って個人的関心に基いていろいろ学ぶ、ということくらいしか出来ません。
社会を動かす権力を持った人々がまともなことをやる意思を持たない、まともでないことだけは実行する決意がある、という状況では為す術がありません。
金融政策についての理解を国民がひろく共有するということもあり得ません。
上記スケジュールの背景にある、デフレ脱却プロセスの減速、という事態を少しでも改善するイベントはあり得るのでしょうか?
今のところ1つ思い浮かぶのは、八田達夫教授と岩田副総裁が提案されていた、「都市部での建築容積率の緩和」という構造改革です。

「不安」を「希望」に変える経済学

「不安」を「希望」に変える経済学

都市部での容積率を他の先進国なみに緩和することで、都市部のオフィス建築・住宅建築の再開発が行われることにより、地価上昇が起こります。
地価が上がると担保価値が上がるので、おカネが借りやすくなります。つまり、マネーストック(=マネーサプライ)の拡大が起こり、デフレ脱却に役立つというわけです。
開発そのものも当然、経済を活性化させます。
容積率緩和が実現すれば、オリンピック開発と相まって、消費増税の悪影響をある程度は打ち消してくれるのではないかと期待します。
この提案のよいところは、単に「金回りが良くなる」ということではなく、10年くらいはかかるにせよ、一般国民の生活環境を改善してくれるという点です。
容積率緩和をすると地価が上昇しますが、ビルディングを沢山つくることによって床面積が大幅に増えるため、床面積あたりの家賃はそれほど上がらないか、場合によっては下落します。
すると、フェイス・トゥ・フェイスの仕事が必要な産業が都心に集まって生産性が上昇、住居も都心に構えやすくなり、通勤環境が改善されます。
また奇跡的なことに、社会・経済の改善を願う真摯な人々と、強欲既得権益層との利害が一致する政策でもあります。
自分たちだけ得したい人たちにとっても不動産絡みの金儲けが出来そうなアイデアですから、反対をしないのではないかと私は期待しているんですね。
この秋の国会で決まると良いと思います。