消費増税⇒株価急落、円高

10月1日の消費増税決定して一夜明け、株価は-314円の14170円、ドル円は97.38円で2円近くの円高
これは市場が、消費増税によって日本経済が減速する予想を持っていることを示しており、政府が掲げた5兆円の景気対策では足りないと判断しているということです。
消費増税の悪影響を5兆円程度では相殺できず、結局8兆円くらい出さなければならないのかもしれません。
ということは、8兆円の増税を行い、景気対策で8兆円出したという、アホらしさでは画期的な経済政策を実施した功績によってイグ・ノーベル賞財務省が受賞する可能性が出てきました。
真面目な話をするなら、消費増税のネガティブ・インパクトを相殺するには、8兆円では足りない可能性があります。
今回の増税は額にすると年当たり最大8兆円ですが、それを受けた一般国民は、きっちり3%とか8兆円の財布引き締めを行うわけではなく、おそらくはそれ以上の消費引き締めを行うものと思われます。
私たち一般人は、「3%」とか「8兆円÷人口」という、きっかりとした計算のもとに消費しているわけではなく、もしそんな人間がいたら気持ち悪いわけですが、「だいたいこんな感じ」といった感覚でお金を使っています。
消費増税を行うと、金額の高い買い物であるほど、負担感を増します。
例えば住宅や、自動車のような耐久消費財です。
どんな買い物でも率的には3%増に変わりはないのですが、高価格の買い物ほど消費税額が多くなるので、「やっぱりやめとこう」という気持ちを引き起こし易くなります。
これを「貨幣錯覚」といいます。
消費増税は貨幣錯覚によって、3%増を上回る負の影響を経済にもたらします。
これを考慮すると、財政政策だけで景気対策を行うと、増税額の8兆円を上回る支出が必要になる可能性があります。
消費増税を行ったことによって、財政再建どころか、以前よりも財政が悪化することがあり得るわけです。
社会保障の維持可能性が向上することもあり得ず、増税したにも関わらず、カネは全て景気対策に回ってしまい、社会保障は負担増・給付減によって「改革」せざるを得なくなるでしょう。
このような事態を防ぐためには、金融政策の改善、それを阻む財務省を掣肘するための日銀法改正が必要になるわけですが、もし自民党の議員たちがこれに賛成しないとなると、未来を予想できない自民党議員たちのために予測を示しておいてやるならば、次の選挙で自民党は負けます。
金融政策を改良しないままに財政政策だけで今回の増税の穴埋めをしようとするなら、財政悪化・社会保障悪化・景気悪化、のどれかが必ず発生します。
それはつまり、増税にあたっての説明がウソであったことが露呈するということです。
自民党が選挙に負けても、財務省的に痛痒はなく、他の政党を又も傀儡化すれば良いだけの話ですが、さて、次に傀儡化するのにちょうど良い政党はあるのでしょうか?
まさか民主党が支持を回復するとは思えませんし、維新の会もダメでしょう。
共産党社民党小沢一郎の線もないだろうし。
個人的願望としては、みんなの党が与党になれば良いと思いますが、それも考えにくいし。
不透明で、危険な香りのする未来しか思い浮かびません。
五十歩百歩の得票をする政党が2つ3つ出て、それらの連立政権になるのかもしれません。
そして、次の選挙で何が何でも負けたくない自民党が、苦し紛れに何をするのか、とても不安です。
経済の失敗を、政治的なイシューで埋め合わせようとするのではないかと危惧を抱きます。
無用な増税を強行したことによって、経済的混乱はもちろん、政治的混乱も相当な蓋然性をもって予測されるようになってしまいました。
今後数年間、そうですね、次の消費増税がある2015年以降も含めた数年間、2018年とか2020年くらいまで、不安定で危なっかしい状況が日本社会に現出するでしょう。
そんな碌でもない近未来を避ける方法は勿論わかっているのですが、それが採用されないことが問題なんだろうと思います。