内田樹の反アベノミクス論を批判する

内田樹先生がまたもや言いがかりみたいな論説で、経済に疎い人たちを反アベノミクスプロパガンダに巻き込もうとしています。
不正確な論説ばかり書き広めるのはまことに不誠実な行動だと思われますので、批判されなくてはいけません。
「赤旗」5月31日号インタビュー - 内田樹の研究室

は経済の専門家ではありませんが、「アベノミクス」の先行きは暗いと思います。
国民に「景気が良くなった」と思わせて株を買わせ、消費行動に走らせる。
「景気がよくなる」と国民が信じれば景気がよくなるという人間心理に頼った政策です。

株式を買っている主な人々は市場関係者であって、一般国民ではありません。他の反アベノミクス論者は、「株式が上昇しても庶民には関係ない」と批判していますが、内田先生が逆ポジションからも批判すれば、両側からアベノミクス批判ができるので連携プレーとして「万全」ですが、論理的には矛盾します。
また、リフレーションの初期にインフレ予想を持つのはやはり市場関係者であって、一般国民ではありません。
一般国民は経済メカニズムに詳しくないので、そのような反応ができません。

体経済は少しもよくなったわけではありません。賃金も上がらないし、企業は設備投資を手控えたままです。

雇用が良くなっていますよ。
実体経済に早くも波及が始まっています。
リフレーション政策は、まずは失業者を減らすことを目指します。
やむを得ず失業している人がいなくなれば、次の段階で賃金が上昇し始めます。
共産党やマスコミ、「識者」は賃金を上げることをやたらと主張しますが、既に職を持っている人の賃金を優先して上げようとするのは、失業者に対して格差を広げる策ですから、少数者・弱者への虐待に当たります。
左翼は二言目には「少数者・弱者の味方」を騙りますが、よく聞いていると公務員や規制に守られた人々など、強者の味方ばかりしています。
拙速に賃金を上げるようなことを「人為的」に行えば、失業者を雇うことのできる余裕のある企業がなくなってしまいます。

ベノミクス」に限らず、世界経済は今あまりに変数が増えすぎている。
ヘッジファンド(投機的基金)などによる投機的なふるまいで、株が乱高下し、為替が変動し、通貨危機が起きることもある。

通貨危機が発生するのは固定相場制ですね。
今は固定相場制が減っているので、それはむしろ過去の話であって、「今の世界経済」を語るのに失敗しています。

場における投資家の行動は予測不能です。彼らは市場が荒れ、大きな値動きをするときに利益を上げる。だから、経済活動の安定より、急成長や急落を好ましいと思っている。そして、そうなるように仕掛けてきます。
アベノミクス」はそういう投資家の射幸心に乗って、意図的にバブルを引き起こそうとしているハイリスクな政策です。

バブルが起こる兆候はありませんね。
アメリカでは貨幣量が3倍に増えましたし、株価も過去最高になっていますが、バブルにはなっていません。

分たちでコントロールできないプレイヤーに一国の経済を委ねてしまうことに私は強い不安を感じます。

「経済をコントロールする」という発想は共産主義ですが、それは上手くいきません。
ここで発見がありましたが、共産主義に賛成する人は心に不安を抱えているのかな、ということです。
経済というのは、多くの人が関わる、とても大きな現象だと思うのですが、そのようなものまでもコントロールできなければ不安である、ということですし、内面の不安を解消するために外界のシステムを変更しようという考え方でもあります。
つまり、自分の心の問題を社会の問題と取り違えている人々なのだということです。

れに「アベノミクス」は国際競争力のあるセクターに資源を集中して、グローバル化した企業が世界市場でトップシェアを獲得することに全国民が貢献すべきだという考え方をしてます。

この「分析」が何を指しているのか不分明です。
内田先生の論説を読んでいていつも感じるのですが、内田先生が他者の考えを忖度する時、結論が抽象的になるので理解が難しくなってしまいます。
他人の考えを独自に推測したら、その説明には具体例を入れるべきではないでしょうか。
「国際競争力のあるセクター」というからにはそれは輸出関連企業だと思いますが、どのような「資源を集中」したのでしょうか?
寡聞にしてそのような事実を私は知りません。
輸出関連企業が業績を良化しているのは円安の効用ですから、いかなる資源も投下されておりません。
また、円安を実現したのは安倍首相と黒田岩田日銀によるレジーム・チェンジのおかげであって、一般国民は指一本動かしていません。
もう一つ言ってしまえば、「グローバル企業」の「国際競争力」という考え方は矛盾ですよ。
グローバル企業は国内にいるとは限らないので、輸出の「国際競争力」など必要ありませんから。
「グローバル企業」というのは、通貨高になったらサッサと国外に生産拠点を移す企業のことを言うのですから、国民が貢献することなど出来ません。
その事情はここより後ろの部分で内田先生もお書きになっていますから、お分かりになっているようなのですが…

ップルの租税回避が問題になりました。
740億ドルという海外の売り上げをアイルランドの子会社に移して、アメリカへの納税を回避したことを咎められて、米上院の公聴会にCEOが召還されました。

咎めているのだから良いのではありませんか?
同じ事をする企業が日本にあったら、日本も咎めればよいでしょう。
日本の輸出関連企業が租税回避をしているという証拠を内田先生がお持ちなのでしょうか?
もしそのようなことがあるのなら、告発されるべきかと思います。

かし、そのグローバル企業の経営者たちが、国民国家に対し、て企業に都合のいいように制度を改変せよと要求するのは筋違いです。

これはいきなり何のお話なのでしょう。
アベノミクスと関係ありますか?
TPP関係の論説と混ざっているように見えるのですが…
ただ、内田先生が国家を重んじていらっしゃることは分かりました。

もうけするのは、彼らの自由です。勝手にやってくださって構わない。けれども、自分たちは「日本の企業」であるから、国民国家の成員たちは企業活動を支援しなければならないという言い分は通らない。教育政策やエネルギー政策や果ては外交や財政や憲法にまで「無国籍」の集団が口出しするのはことの筋目が違う。

ここにもまた、内田先生にしかご覧になれない「現実」が語られているのですが、アベノミクスにおいて、どの日本企業が「国民による支援を求め、教育、エネルギー、外交、財政、憲法」に口出ししたのでしょうか?
「無国籍」集団がそれをやったそうですから、国内だけの企業ではなく、国際的に展開している企業なのだと思うのですが、そんな話がどの新聞に出ていたのか知りたいです。
繰り返しますが、これがアベノミクスとどう関係しているのでしょうか。
アベノミクス批判をしたい一心で、あれもこれも投げつけているような印象を受けてしまいます。

民に向かっては「あなたがたはグローバル企業のためにどれほどの犠牲を払う覚悟があるのか」と詰め寄るくせに、自分たちの企業利益を国民国家に還流することについては、何も約束しない。

おそらく内田先生だけが、そのようなメッセージを受け取ったのだと思います。
「あなたがたはグローバル企業のためにどれほどの犠牲を払う覚悟があるのか」と発言した企業を私は知りません。そのような企業を知っている人がいたらご教示願います。

営者も株主も従業員も日本人ではなく、生産拠点も日本ではなく、納税先も日本ではない企業を国民が支援する理由はありません。その事実を糊塗するためにも、グローバル企業は「日本の企業」という偽りの名乗りを手放さないのです。

ああ、それらしい企業なら私も知っています。
でも厄介事がイヤなので書きませんけれども…

の総選挙では維新の会は「最低賃金制度の廃止」を公約に掲げました(批判を受けてすぐに引っ込めましたが)。大阪の最低賃金は時給800円です。橋下代表はこれを廃止すれば雇用が増える。3人で分ければ雇用が3倍になると述べました。

アベノミクスの話…のはずだったのに、どんどん脱線しています。
手に取れるものは何でも投げつけてくる内田先生の恐ろしさがよく伝わってきます。

自民党がことさらに中国・韓国との対立感情を煽っているのは、無国籍産業がそれを要請しているからです。

どの企業なのでしょうね。おかしいなぁ。
むしろ中国や韓国に配慮しろという企業の方が目立つでしょう。中・韓の企業と取引している日本企業は多いわけですし。

同士の経済戦争で命がけで戦っているのだという「ストーリー」を信じ込ませれば、国民は低賃金に耐え、消費増税に耐え、TPPによる第一次産業の崩壊に耐え、原発のリスクに耐えるからです。

そんなストーリーがなくても今まで日本人はさんざん耐えて来ましたよ。
15年に及ぶデフレでも頑張ってきた事実が内田先生には見えないのでしょうか。
また、TPPに参加しても第一次産業は崩壊しませんよ。
日本の第一次産業が非効率性を改めれば、やっていけます。