大前研一が(適当に)リフレ批判

池田信夫同様、大前研一もいかにも自分には論評する資格があるという顔をして色々な話題に嘴を突っ込んできて、マスメディアもまた大前にはその資格があるような前提雰囲気を醸しだしてカネになるタレントとして育成してきたので、何も知らない善良な視聴者は「大前には経済問題を論評する素養があるのかな」と思ってしまいますが、大前はもともと悪名高い高速増殖炉もんじゅの設計に関わっていた全く畑違いの人間であり、その後も経営学を学んだだけで経済学を専門的に学んだわけではない、いわば素人です。(経営学も専門的に学んだのかどうか不明。)
私やあなたと同じ素人。
世間的には「経営学も経済学も同じ様なもんだろう」という思い込みがあるので、そこに乗じて適当に発言してカネになるという、メディアで踊る言論芸人の一人にすぎません。
大前研一 - Wikipedia

安倍氏が日本経済の現状理解してないのが最大の問題と大前氏
2012.12.24 07:00
【略】
今回の総選挙で争点になった「消費税増税」「インフレターゲット」「TPP(環太平洋パートナーシップ)協定」などは、いずれも経済成長とは関係がなく、重要ではない。というより、重要でないから争点になったのだ。重要なことを争点にする政治家を、私はついぞ見たことがない。

不況下で消費増税をすると経済成長率が低下しますから、経済成長と関係します。
インフレターゲットを実施すると円安と株高を招来しますから経済成長します。

最大の問題は、政権に返り咲いた自民党安倍晋三総裁(およびそのアドバイザーたち)が、日本経済の現状を理解していないことである。安倍総裁は大胆な金融緩和やインフレターゲットなどによってデフレ脱却を目指す財政金融政策「アベノミクス」を掲げているが、それは金利の上げ下げとマネーサプライの増減が経済活動に影響を与えるとする20世紀のマクロ経済学が、まだ通用すると思っているということだ。

マネーサプライというかマネタリーベースの増減は経済活動に影響します。
実際にアメリカではQEの実施によって経済が回復し始めていますし、イギリスは名目GDP目標に関心を持ち始めたと言われています。
名目GDP目標も金融政策です。
というか、大前研一はマネタリーベースとマネーサプライの区別はついているのでしょうか。

しかし、その認識は間違っている。すでに日本は1999年からゼロ金利政策が(短期間解除されたことはあったが)続いており、市場にはお金があふれている。だが、誰も借りないし、誰も使わない。これからさらなる金融緩和を行なって無制限に資金を供給したとしても、個人にも企業にもニーズがないから、実体経済には吸収されないのである。

アベノミクスではその対策として財政政策を行うとしていますね。
しかし、日銀がマネタリーベースを増やすと銀行からの貸出が増えるという目論見は、毎日新聞や12月23日放映NHKの「日本国債」という番組でも語られていました。
日銀がそのように考えているという内容であり、毎日新聞NHKももちろん日銀に取材してそのような報道をしたのだろうと思いますから、日銀自身の考えなのだろうと思います。
となると、大前は安倍総裁を批判するのではなく、日銀を批判しなければならないはずです。
不思議なのは、毎日新聞NHKも大前など「識者」も日銀を批判しないことです。

大胆な金融緩和をしようがしまいが、消費税を10%にしようがしまいが、TPP協定に参加しようがしまいが、このままでは日本は2030年を迎えられないと私は見ている。
 なぜなら、それまでに日本は国の借金が対GDP比で300%を超えて、「破断界(持ちこたえられる限界)」を迎え、国債がデフォルトしてハイパーインフレになってしまうからだ。

そのような事態を防ぐために経済成長が必要なのです。
国債金利よりも、名目GDPの成長率が上回っていることが必要です。
税収は「名目GDP×税率」ですから、税収の伸び率が利払いを上回っていれば破綻を免れることができます。
大前が破綻危機を煽るのは、その手の経済本を出す地ならしなのではないかと思います。

 国債がデフォルトしたら、国債を大量に保有する銀行が潰れ、個人金融資産が吹き飛んでしまう。ハイパーインフレになったらタンス預金も一気に紙屑になる。そうなる前に貯蓄を消費に向かわせて経済を上向かせることを考えるべきである。
週刊ポスト2013年1月1・11日号

反リフレ派のもつ種々の悪い特徴の一つですが、具体策を挙げずに「〜するべきである。」という無益な「提言」を、大前もまた行なっています。
彼らが具体策を出さないのは思いつかないからです。
リフレ政策はまさに、貯蓄を消費に向かわせるための工夫であり、自由経済の下で市場の仕組みを活用して、経済を活性化させる自発性を人々から引き出すために考案されたものなのです。