自由経済を否定してこそ共産党

学校の教科書などでは今だに共産主義のことを「平等を目指す」などとウソを混じえて紹介している記述が絶えませんが、共産主義自由経済を否定してコントロールしようとする仕組みなので、平等云々とは本質的に関係ありません。
日本の戦時体制は軍国統制経済でしたが、あれは陸軍統制派がスターリンの真似をして工業化と高度国防国家を建設しようとした試みであり、当時の左翼政党は当然のことながら軍部に協力していました。
戦争を通じて日本を共産化するという戦略です。
このことはトンデモ説でもなんでもなく、山川出版社から出ている受験参考書に掲載されている程度のお話なので、書店で該当箇所を立ち読みしてください。

詳説日本史研究

詳説日本史研究

デフレ不況からどう抜け出すか
日本共産党志位和夫委員長は24日、さいたま市での街頭演説のなかで、深刻化しているデフレ不況からどう抜け出すかについて、「働く人の所得を増やし、内需を活発にすることがカギ」とのべ、(1)消費税大増税を中止する(2)大企業の260兆円の内部留保を雇用と中小企業に還流する政策を実行する――という二つの提案をおこないました。

不況下の消費増税に反対するのは正しいとして、(2)こそが共産党の本義。
このように政治によって民間企業を統制し、反経済原理的な強要を行うのが共産党ディストピアなのです。
このようなことが実現すると、私たちの勤める会社の経営が上手く行けば行くほど、突然カネを召し上げられ、経営難の中小企業に分配されてしまう世の中になります。
こんなことをしたら「経営をうまくやろうとする会社がなくなってしまう」と私たちのような普通の人間なら当然に考えますが、そこは共産主義者のこと、「動機づけ」などといった経済合理性のある概念は決して受け付けません。彼らの世界観の中には「強制」、「闘争」といった発想しか存在し得ないのです。誰かを血祭りにあげるような考え方がなくなってしまうと共産主義を実現できないのですからやめられないのですね。

自民党安倍晋三総裁などが、「無制限の金融緩和」などと言っていることについても、「内需が冷え込んでいるときに、いくら日銀が銀行にお金を供給しても、企業の投資にはまわらず、余ったお金が投機に使われるなど、何の効果もなく、副作用しかありません」

日銀や日銀の応援をする「学者」・「識者」、毎日新聞日本共産党の言い分が同じである、という興味深い現象が発生しています。
共産党って割と権力や権勢と近い位置にいるのではありませんか?
お金を回すことはたしかに有効なことで、金融緩和して財政政策を行えばお金を回すことができます。
単にそれだけのことなので、共産党の言い分が無知をさらけ出していることがたったのニ行で明らかになってしまうのですが、しかしそれでもまだ言って置かなければならないことは、銀行から企業への貸し出しが増えなくても景気がよくなる経路はある、ということです。
この辺はリフレ派の中でも意見が分かれるところですが、私はこれはどうでも良いと思っています。
高橋是清的に金融政策と財政政策を混ぜるということで構わないので、安倍総裁の主張する政策にも賛成です。
ただし、「日銀の出したカネが銀行から先に出て行かない」としても、そのまま緩和を続ければ良いと思います。
何度か書いていることですが、「カネが回らないのに緩和を続けても景気は良くならない、インフレにもならない」というのなら、日本の借金を全部日銀が買い取ってしまえば良いのです。
そうなれば日本の財政問題は一挙に解決するわけですが、実際には日銀が国債を買うことで金融緩和を続ければ、どこかの時点で必ず「この調子でいくとインフレになるなぁ」という予想が、投資を職業的に行なっている人々から出てきます。
それはそうでしょう。日銀が50兆円とか80兆円とかカネを出し続ければ、インフレになる以外にないのです。
インフレになる、という予想が出ると、それは企業の利益が上がるということを意味します。
インフレとは物価の上昇、つまり日本の企業群が生産・提供するモノやサービスの値段が全体としてみると上がることなのですから。
インフレが予想される⇒企業の利益上昇が予想される⇒株価が先行して上がる⇒企業や銀行のバランスシートが改善される⇒企業はカネを借りるのに有利になり、銀行はカネをかす余裕が生まれる、といった状況になります。
繰り返しになりますが、インフレが予想されるということは企業の利益の上昇が予想されることなのですから、企業は生産を拡大しようと意図し、その為にカネを借ります。それがやりやすくなっていることで後押しされます。
つまり、共産党の主張は全く間違いであり、金融緩和だけでも強力に実施するならカネの貸し出しが増え、企業の生産活動は拡大し、雇用は増え、景気は改善します。
したがって、

実体経済が悪いときに、金融経済をテコ入れすれば景気が良くなるなどというのは、まったく逆立ちした議論です」と批判しました。

という言い分も成り立ちません。逆になっているのは共産党の意見であり、経済無知の産物です。

第二は、大企業がため込んでいる260兆円の内部留保を、雇用や中小企業に還元する政策を実行することです。大企業による身勝手なリストラ――電機産業の大企業がおこなっている13万人もの首切り計画をやめさせる、非正規社員を正社員にする、最低賃金の抜本的引き上げをおこなう、解雇規制法を制定する、中小企業と大企業の公正・公平な取引ルールの確立などをすすめることなどを提案しました。

この辺はもう暴言といっていいほどです。
共産党は日本経済を破壊することで共産化を狙い、日本の勤労者を自殺に追いやろうとしているとしか思えません。
まずリストラについてですが、これはむしろ賃金を柔軟に下げることができれば避けられるかもしれない問題です。
日本は欧州に比べると賃金が下がりやすい仕組みですが、企業がリストラを行うのは、それをやらなければ会社そのものが危機に陥るからです。
もし賃金を素早く下げることができるならリストラする人数は少なくて済みます。勤労者が「足るを知る」精神でもってワークシェアリングするのです。
ですが実際には賃金の下げることには非常な抵抗が発生しますし、強引に下げてしまえば勤労意欲は大きく低下してしまいます。
「会社全体のために合理的に判断して我慢しよう」という人はほとんど存在しません。
次に「非正規社員を正社員にする、最低賃金の抜本的引き上げをおこなう、解雇規制法を制定する」という部分ですが、こんなことを行ったら企業はますます新規採用に慎重になるでしょう。
共産党的雇用規制が実現している世界では、一旦人を雇うと必ず大きなコストがかかり、業績がおちても賃金を下げたり解雇することが出来ないが故に容易に経営危機に陥ることになるからです。
共産党が提案する政策を実施してしまうと企業は非正規社員どころかアルバイト以外は雇わなくなるでしょうし、もしかしたら中国人留学生のような外国人のアルバイトしか使わなくなる可能性もあります。
要するに共産党のように企業を敵視して、経済学の成果を度外視して、経済合理性の欠片もないような、江戸幕府でもやらなかったような強権的政策を行うなら、日本の雇用は壊滅的な打撃を受けるということになります。