不倶戴天の敵、毎日新聞を今日も腐す。

予想どおりリフレにケチをつける毎日新聞を今夜も否定することから始めたい。

<日銀>インフレ目標導入 政策効果に限界も
毎日新聞 2月14日(火)21時57分配信
 日銀は実質的なインフレ目標の導入と追加金融緩和の「合わせ技」でデフレ脱却に向けた強い意志を示した。しかし、既に日銀の実質ゼロ金利などの緩和策は長期化しており、市場では「政策効果はもはや限界」との指摘もある。

いや、いきなり円安になったし株価も上がったべさ。

日銀は、10年に始めた包括的な金融緩和策を当面は継続する姿勢を明確に打ち出した。日銀は国債などの買い入れ基金を10兆円積み増して市場の資金をジャブジャブにし、企業の設備投資や一般家庭の消費を促すことでデフレ脱却に結びつけたい考えだ。

「ジャブジャブ」などと全国紙にはおよそそぐわない子供じみた表現を用いてまでリフレ政策を貶めたいという気持ちがよく伝わってきます。
金融緩和で設備投資や消費が増えるのは景気が回復してからの「最終段階」とも言って良い時点なので、金融緩和でいきなりそうなるわけではない。
金融緩和の継続で重要なのは、投資家など経済の先頭を走る人々の予想に働きかけること。(今回実際にいきなり円が下がったり株価が上がったりしたことに注目。)企業や一般市民はそんなに感度が良いわけではない。そういったことはリフレ派の本には普通に書いてあるが、毎日新聞記者はそのようなものは参照しない。新書レベルの知識すら参照しなくても全国紙の記事は書ける。

しかし、国内ではこれまでの緩和策で、長期金利の指標となる10年物国債の利回りが、既に1%を割り込む超低水準に下落。これ以上の金利低下は難しく、政策効果は限られている。

金利にしか言及せずにネガティブな印象付けをするのも勿論計算済みでやっている。もともと量的緩和など非伝統的金融政策は名目金利がそれ以上下げられない時に工夫されるもの。都合の悪いことは無視するのが毎日新聞の流儀。

また、欧州債務危機など世界経済の先行きに不安がある中では、たとえ低金利で借りられても、企業の設備投資意欲は高まらない。

繰り返しになるが設備投資が始まるのは景気が回復してから。銀行も景気が回復するまでは貸したがらない。
インフレ予想が大事なのは、「中央銀行がマイルドインフレにする確固たる意志がある。」と民間銀行が判断した場合、量的緩和などで発生した余剰資金を株式などの証券購入に回すから。そうすれば株価は上昇し、企業のバランスシートが改善される。
マイルドインフレになるだろうという信頼があれば証券の方が儲かるのだから民間銀行はそうする。企業への貸出といったリスキーな取引よりも易しい儲け方がある。
だからこそ中央銀行の政策への信頼が重要なのである。従来の日銀のように嫌々ながら金融緩和するとか、量的緩和を中途半端に止めるとかいうことを繰り返してきていると信頼されないので金融政策の効果が出にくくなる。

そもそも日本でデフレが長期化しているのは、少子高齢化による国内の需要減少など構造的な要因が大きいとの指摘もある。

これは端的に間違い。働く人の人口が減ることでデフレになるということはない。働く人の人口の減り方が日本よりも激しい国はグルジアモルドバブルガリアが挙げられるが、いずれの国もデフレどころかインフレ気味。これは「世界銀行データベース」にある統計。
こういった根拠には一切あたらずに聞きかじりの理屈で記事を書くのが毎日新聞の文化。

白川方明日銀総裁は14日の会見で「デフレ克服には潜在的な成長率を高めることが必要。それには企業、銀行、政府、日銀が協力して役割を果たすことが必要だ」と述べ、日銀の金融政策だけでは限界があるとの考えを示唆した。

実際の成長率が潜在成長率を下回るとデフレが発生するんで、潜在成長率を延ばして現在の成長をないがしろにするとデフレは悪化する。需要を刺激することが大事。
また、少し前の段には「人口減少で需要が減ったのがデフレの原因」という説を紹介していながら、全く矛盾する談話を肯定的に引用してしまうあたりから、毎日新聞がデフレについて碌に考えていないということがよくわかる。
ただ、終わりの行は賛成。金融政策だけでなく財政政策も併用しなければ効果が上がりにくい。

白川総裁は「FRBと日銀の政策運営の枠組みは同じ」とし、日銀が打ち出した政策は、物価上昇率だけを見て機械的に金融緩和・引き締めの判断をする狭い意味での「インフレ目標」ではないと強調した

そらそうだ。バーナンキ氏もそのことを言った。インフレ目標に達していても失業率などが高ければ目標を上回るインフレ率になったとしてもさらに経済を刺激するべきである。イングランド銀行はそれをやっている。
しかし毎日新聞は「イングランド銀行インフレ目標を上回っているので目標が形骸化している。」というネガティブな評価を与えている。つまり毎日新聞は一つの記事の中でで矛盾する内容を書いてまでリフレ政策を否定したいのである。そこまで執念を燃やす動機が何かしらあるわけだ。

しかし、インフレ目標導入の代表例とされる英国では、イングランド銀行(BOE)が物価上昇率2%を目標に掲げているが、最近では上昇率は4%に達している。それでも景気低迷を理由に金融引きしめには踏み切れず、目標は形骸化しつつある。

こういったことを書いていて矛盾を感じない筈がないので、(もしそうなら毎日新聞はアホ揃いということになるが、さすがにそれはない。)矛盾丸出しにしてまでリフレ政策を否定したい何かしらの事情が必ずあるのだ。

BOEと異なり日銀は目標が達成できなくても責任が問われることはなく、市場では「政策運営に対する拘束力がない。物価上昇率1%という数値を掲げただけで実効性に欠ける」(クレディ・スイス証券白川浩道チーフエコノミスト)という冷ややかな見方もある。【大久保渉】

最後のこの段だけが変にまともなのも不自然。最後に残された良心というべきか。
この記事を書いた記者は「政府と日銀に媚びて救済してもらうのが我社の経営方針なので、それに沿って書くように。」と言われているかのようである。
この最後の段にあるとおり、日銀が本当にマイルドインフレを目指して仕事をするかどうか担保できないし、そもそも1%という目標は低すぎる。他の国では0%になりかねないような目標は掲げない。1%としている時点で「本当はやる気がないのではないか?」と思われかねないので、中銀がマイルドインフレを起こすことを投資家などに信じさせる力が薄いと思われる。
政府や日銀に媚びへつらった毎日新聞によるこのところの記事を読んでいると、「ネットの匿名による自由な言論は大事だな。」と実感する。
顕名で言論活動しても、権力を持った各方面に左顧右眄したみっともない事しか言えないのが人間社会の現実なんだな、と思う。
ふだん制限された顕名言論しかできないマスコミがネットの自由さを嫉妬して否定したり制約したりしようとするのも理解できる。
そして、マスコミのその願望を成就させてはいけないということも強く思う。
毎日新聞の無知蒙昧な記事よりも数段優れたブログ記事を経済に関して書くのに非常に役に立つのが以下の書物。

円高の正体 (光文社新書)

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この本を読むだけで全国紙の記者よりもよっぽど良質な言論が展開できることを保証する。しかもかなり易しく書いてある。