危機が語られる。

事実を見据えるのは大事なことで、危ないことは危ないと語るべきですね。ユーロ圏をめぐる危機が公然と語られ、しかもその程度は普通目にすることができないほどのもの。現代は経済危機が戦争に結びつくわけではないと思いますが、「大戦前夜の状況はこういう雰囲気だったのかな?」とアナロジーで想像します。それにしても数年ごとに世界規模の危機が来る現状はどうにか予防策がとれないものかと思います。人類まるごと綱渡りじゃあね。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/24007

2007年8月に世界を襲った金融危機は新しい局面、それもいくつかの重要な点でより危険な局面に入っている。銀行と弱い国との間には一種の悪循環が生じつつあり、ユーロ圏と世界経済に悲惨な影響を及ぼす恐れがある。ユーロ圏は絶海の孤島ではないからだ。


 このプロセスで特に恐ろしいのは、弱い国はこの難局に独力で対処できず、その一方でユーロ圏には責任者がいないということだ。ユーロ圏には、この危機に対応する能力がないのかもしれない。

最悪の場合、世界は大きな危機の瀬戸際に立っている。


 米国のティム・ガイトナー財務長官や就任間もないクリスティーヌ・ラガルドIMF専務理事といった面々がユーロ圏の当局者に強い圧力をかけているのはそのためだ。「対策の規模が小さすぎるし、そのタイミングもほとんど手遅れ」という時期は終わった、早急に対策を講じなければ本当に手遅れになる、というのが彼らの主張だ。

ユーロ圏では4400億ユーロの欧州金融安定機関(EFSF)の機能拡充が(うまくいけば)10月のうちに各国で批准されるはずである。そうなれば、EFSFは銀行に資本を注入したり、大幅に値下がりした国債を市場で買い入れたりできるようになる。


 しかし、この基金の規模はいくら何でも小さすぎる。ユーロ圏にはもっと大きなバズーカ砲が必要だ。

あまり良い選択肢は残っていない。提案されている対策はかなり大きなリスクをはらんでいる。しかし、これに比べれば、対策を講じないために金融機関の破綻やソブリン債務危機が世界中に波及することの方がはるかに悪い。


 上記のような救済措置を講じる必要性は、解体できない通貨同盟の成立を急いだことや巨大な不均衡の発生を黙認してきたこと、銀行に規律ある行動を取らせることができなかったこと、そしてこの危機への対処が非常にお粗末であることの対価と見なせるかもしれない。


 ユーロ圏は、「大きくなったら何になるか」をまだ決めていない。だが、まずは、その段階に到達しなければならない。メルトダウンのコストは考えられないほど大きく、ユーロ加盟国はとにかくメルトダウンを防がねばならない。まともな策はそれしかないのだ。