最初から悪く言う人は普通いない

何もしていない人に対して最初から悪く評価する人はあまりいませんね、よほどネガティブか根拠を持っているかでない限り。しかし代替わりの楽観といった雰囲気が蔓延しているのを見ると、菅内閣発足の時にも書いたのですがどういう理由で期待しているのか示す人はおらんものかなと思います。
既に根拠を持って悲観的な予測を語る専門家も目立ち、どうもこれから貧しい人が更に困窮する世相になりそうになっていますが、おそらく困窮の当事者になろうかという人々が政治・経済に無関心、或いは理由なく肯定的な判断をしているだろうことを考えるとなかなかやり切れないものがあります。
菅内閣が始まった時にも多くの人が支持していたんですよ、私はよく覚えていますが・・・それが世の流れが否定に傾くと誰も彼もが「菅はダメだ。最初からそう思っていた。」といったことを口走るようになりました。
今後、日本経済がどうなるか予想してみると、理由なく景気のよい話を軽薄に垂れ流す人もいますが、良くなる要素どころかかなりマズイ状況になるように思います。国内的にはデフレ・円高に加えて増税をしそうですし、海外ではアメリカがやばそうです。アメリカの経済も減速懸念が出ているのですが、政治的理由から金融政策・財政政策が思うようにとれなさそうですし、仮に金融政策として「量的緩和3(QE3)」と実施したとしても、「金融政策に加えて財政政策も行わないと効果が薄い。」と言われていますので、明らかな効果はでないかもしれません。しかしQE2では少なくともデフレは防止という目的は果たしたのですから日本よりはマシです。
1930年代に日本を世界恐慌から脱出させた高橋是清が行った政策も、金融政策+財政政策であって、決して「単にお金をたくさん刷る。」というものではなかったのであって、今の日本が苦境を脱するにはこれまでのように財政政策だけやって借金を積み上げるのではなくて金融政策も組み合わせないと上手くいかないのですが、これは期待薄ですね。内外の経済状況が悪くなってあたかも津波のようなインパクトが生活におしよせるかもしれませんからせめて心の準備ぐらいはしておきましょう。経済が悪化したら必ず「野田はダメだ。最初からそう思っていた。」という声が溢れることになるでしょう。そんなこといっても何も好転しませんけれども。

デフレと超円高 (講談社現代新書)

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リフレ政策を理解したい方へのオススメ。ノートでまとめを作りながら読むとよくわかります。