外交なき戦争の終末

太平洋戦争 日本の敗因6 外交なき戦争の終末 (角川文庫)

太平洋戦争 日本の敗因6 外交なき戦争の終末 (角川文庫)

太平洋戦争に関する本を読んでいていつも思うことだが、日本人は願望と現実の区別、あるいは自分の都合と他人の都合の区別がつかない。
南部仏印に進駐するときには「これくらいなら戦争にならないだろう」と進駐し、戦争をはじめるときには「もしかしたら何とかなるかもしれない」と始め、戦争に行き詰ったら「ソ連なら和平の仲介をしてくれるのではないか」とやはり根拠なく考える。独ソ戦に勝利したソ連が、ドイツと同盟を組んでいた、今や戦争に負けそうな日本に好意的に振舞ってくれるだろうと考える。
客観的にみるとキチガイ沙汰だが、これに類する思考法は今の日本の卑近な場面にいくらでもある。
自分の願望どおりに現実が動いてくれるだろうという考え方だ。
こういう思想が広く根付いている理由はどの辺にあるのか非常に興味がある。
平安貴族がまじないを本気で信じていたことを連想させることではある。