そして殺人者は野に放たれる

そして殺人者は野に放たれる (新潮文庫)

そして殺人者は野に放たれる (新潮文庫)

刑法39条の心神耗弱規定の問題を扱った本。
この本に出てくる例を読んでいると、無茶苦茶なことをやればやるほど、言えば言うほど心神耗弱が認められやすくなって刑が軽くなっていて唖然とします。
まともなことを言ってしまうと判断力があると思われて逆に損するという。
悪いことをやっている自覚のない人を裁いても仕方ない、というのは理解できることであるけれども、それは悪いことを避けようもないくらいな人にのみ適用すべきだ、ということが書いてあります。
山口で母子を殺した少年に無茶苦茶を言わせて心神耗弱で減刑を狙うという戦術がネットで非難されてますから、ああいうやり口を理解するのにこの本は役に立つと思います。

殺戮者は二度わらう

殺戮者は二度わらう―放たれし業、跳梁跋扈の9事件 (新潮文庫)

殺戮者は二度わらう―放たれし業、跳梁跋扈の9事件 (新潮文庫)

犯罪本づいているので、立て続けに読んでしまいましたが、これまた暗澹たる内容。
この手の本ばかり読んでいると世の中にネガティブな見方ばかりしてしまうかも。
この本でもやはり、愚劣な人に馬鹿馬鹿しい理由で殺されたり、まるきり殺され損だったり(殺され得なんてありえないけど)散々な内容。
問題があっても50年でも60年でも放置するのは、あらゆる分野で我が国の伝統ですね。文化か。
システム上問題があっても何となく放っておいて破滅的な戦争につっこんだ教訓ってのがよく語られますけれども、その解釈に応用力がないから、実際にそれぞれの分野で応用することが全くできないという。
日本人のこういう学習能力のなさには、個人的にも身につまされます。