消費再増税に反対

消費増税のせいで経済が落ち込んできている事実にかんがみて、再増税に反対するのは当然なんですけれども、実際のところ、なかなか厳しい情勢ですね。

首相、12月初め再増税を判断 消費税10%、甘利氏見通し
 甘利明経済再生担当相は共同通信のインタビューで、来年10月に予定されている消費税率10%への再増税の是非は、安倍晋三首相がことし12月初めをめどに判断するとの見通しを明らかにした。有識者による景気の集中点検会合を11月後半に開き、判断の材料にする考えも表明した。
2014/07/21 16:44 【共同通信

増税が延期できたら大成果だと思いますが、官僚はカレンダー通りにものごとを進めたがりますからねぇ。現実を没却して、自分たちの都合だけ何が何でも押し通すという姿勢は異様なものを感じるのですけれども、官僚の世界に適応しようとすると、そういう奇妙な人格にならないと無理なんでしょう。
安倍政権としては安全保障や外交上の懸案を実現するために官僚とよろしくやっていく必要があるようなので、経済面ではいま以上に頑張るのは難しい、ということでしょうか。
それをいいことに、「出来る限りの増税をして、ぜんぶ安倍におっかぶせよう」という機運が自民党の中にも出てきていますね。
ふつうは国民の反発が恐ろしくてやれない悪政を、安倍政権の支持率を食いつぶす形で可能な限り実現しておこうという腹づもりでしょう。
自民党は基本的に、利権のことしか考えない近視眼的な政党ですから仕方ないですね。

新古典派、三橋貴明

「賃金を上げさえすれば労働者がすみやかに集まります」という発想は新古典派的なんですけれども、建設業の現実で分かるとおり、賃金を上げても他の事情がからむ関係上、労働者がすぐに集まったりはしません。
そういった現実を目の当たりにして、自分の主張が現実によって冷徹に跳ね返されているにも関わらず、三橋貴明が今度は介護業界についておんなじことを言っています。

日本の介護サービスの人材不足を埋める手段は明確で、賃金を引き上げることです。そのためには、介護保険料や要介護者の負担を高めない形で、介護報酬を引き上げるしかありません。すなわち、政府の財政出動の出番なのです。
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2014/07/21/mitsuhashi-135/

青文字部分、建設業に関して「労務単価を引き上げれば労働者は集まる」と三橋が言っていることと相似形を成しています。
これはもちろん欺瞞です。
労務単価は賃金ではないため、労務単価は引き上げられたが、賃金は企業が引き上げない、ピンハネする、ということは普通に発生しています。だからこそ、自治体によっては「公共事業で最低賃金を公定する」という対策をとっているのです。
同じ様に、介護業界において、介護報酬は賃金ではありません。介護報酬を上げても賃金を上げるかどうかは、それぞれの社会福祉法人に任せられているのですから、労働者の待遇がよくなるわけではありません。
というか、特別養護老人ホームを運営する社会福祉法人内部留保2兆円に到達しているので、介護報酬の引き上げなどやらなくても、労働者の賃金引き上げは余裕で可能です。
社会福祉法人にはほぼ税金がかからないので、保育園などもふくめた社会福祉法人全体では、毎年5000億円の黒字が発生しており、これは上場企業以上の利益率になっています。
その原資はもちろん、保険料と税金。
こんな現状を尻目に、「介護報酬の引き上げを!」などという三橋貴明は、社会保障業界のレントシーカーたちに、「そのように言って下さい」「あい分かりました」という遣り取りをしたとしか思えない不自然ぶりであります。

2014年07月21日のツイート