日本よりも緊縮財政のユーロ圏の方のインフレ率が高い


放漫財政を煽る人たちは、財政出動によって景気が良くなるとか、インフレ率が上がるとか、ウソばかりついていますが、こういうものは事実によって批判していきましょう。
有名人が言ったことは正しいとか、専門家が言ったことは正しいとか、親しい人が言ったことは正しいとか、まるっきり土人の言説を放漫財政主義者たちは弄するわけですが、有名であるとか、専門家であるとか、親しいということと、その人の主張が正しいかどうかということは関係ありません。
自分で根拠をとることを一切やらず、他人の言うことを鵜呑みにしてスローガンを唱和する姿はファシストさながらですが、残念ながら日本ではこのような権威主義者が国民の大半を占めています。
そのせいで、財政出動に景気回復の力があるとかインフレ率を上げる力があるとかということの裏付けは何もないにも関わらず、政策に反映されてしまっています。
金融政策に枠をはめ、その代わりに財政をばらまくといった誤った政策がこれから続くわけですが、海外の指標を見れば、そのような政策には正当性が存在しないことが確認できます。
必要な政策を制限し、不必要な国民負担を増加させるよう人びとを騙す放漫財政主義者たちは無責任極まりないと言えます。
このような人びとが自分たちを保守であるとか愛国者であるとか称するのは片腹痛いと言っておきましょう。

ーロ圏の失業率とインフレ率

ユーロ・雇用統計|経済指標|みんかぶFX
ユーロ圏の失業率はいまだ10%を超えています。
したがって、需給ギャップも大きく広がっていると考えられます。
日本の失業率は3.1%ですから、需給ギャップは遥かに小さいと考えられます。
それをふまえてインフレ率を見てみると・・・
ユーロ・消費者物価指数(HICP)(概算値速報)|経済指標|みんかぶFX
統計局ホームページ/消費者物価指数(CPI) 全国(最新の月次結果の概要)
なんとまあ、日本はマイナスであるのに、ユーロ圏はこの数ヶ月、プラスを維持しています。
ユーロ圏の財政赤字はGDPの2%、日本は5%。
金融緩和も日本の方が巨大なものになっています。
この差はなんでしょう?
GDP成長率を見ても・・・
ユーロ・実質GDP(確報値)|経済指標|みんかぶFX
日本・GDP1次速報値|経済指標|みんかぶFX
ユーロ圏の方が優っています。
ユーロ圏の方が状態が悪いので、GDP増加率が高いのは当然なのかもしれませんが、状態が悪いにしてはインフレ率が日本より高いのはどういうことなのでしょうか。
これらのデータを見て分かるのは、

  • 財政出動が少なくてもGDPは増える
  • 財政出動が少なくてもインフレ率は上がる
  • 需給ギャップが大きくてもインフレ率は上がる。需給ギャップが小さくてもインフレ率は下がる。つまり、デフレ脱却と関係ない
  • 日本よりユーロ圏の方が失業率の下がり方が速いということは、財政出動の多寡は需給ギャップの閉じ方に関係ないということ


日本は金融緩和の程度でも、財政出動の程度でも、ユーロ圏を遥かに上回る規模で経済政策を行っていますが、失業率の下がる速度、インフレ率、GDP増加率、のすべてで負けています
この差がなんなのか、安倍政権、安倍政権のアドバイザー、在野リフレ派、放漫財政主義者、海外の有名経済学者、の誰ひとりとして説明することができていません。
にも関わらず、財政政策を拡大するために金融政策を制約することが易々と行われてしまうのが日本の現状。
アメリカ、イギリス、ユーロ圏など、欧米諸国は財政状態を改善しながら順調に景気回復。
かたや日本は財政状態を悪化させながら、以前よりむしろ停滞。
経済政策論議のレベルの差がよく現れています。

2016年10月15日のツイート