金利による説明は分かりにくい

金融政策についての教科書や日銀の説明がどうも分かりにくいな、と常々思ってきました。私の疑問点は以下のとおり。

  1. 年限の長い国債を日銀が買い入れてイールドカーブを下げる、という説明より、買い入れる国債の年限を伸ばすと緩和状態の持続が示される、という説明の方が分かりやすいんじゃないの。
  2. 金利に執着した説明をしていると、経済活動が活発化してインフレ率が上がり、金利が上がり始めたときに、それは金融政策が十分なのか、不十分なのか、判定できるの?
  3. 金利が下がって投資が増えるという説明より、利子のつかない貨幣が余りすぎて要らないから金融資産に換える、そんで投資も増える、という説明の方が分かりやすいと思うんだけど。
  4. 金融政策と財政政策を峻別している人が多いけど、日銀が国債を買い入れている時点ですでに、それは財政政策でもあるんじゃないの?
  5. 超過準備への付利はどう考えても非合理だと思うんだけど、批判する人が少ないのはどうしてかしら?

で、これらの疑問点におおむね答えてくれる教科書に出会うことができました。それが何かはネタバレになるので書きたくないんですけど、法律で有名な出版社から出ている教科書だとは書いておきましょう。
上記の1、3、4は、このような理解法でも良いようです。こちらの理解の方がシンプルで分かりやすいですよね。
4に関して、日銀が国債を買い入れると利子が日銀に入りますけど、それは国庫に戻してしまうわけなんで、日銀が買いオペするだけで政府の財源になるということ。
5に関しては、その教科書のその部分を書いた人がどうも旧日銀シンパのようで、よく分からない説明でした。
超過準備に付利して短期金利を0.1%位に保つのは、ゼロ金利政策の建前を守るため、みたいなことが書いてありました。つまり、実質ゼロになってしまうと、金融機関が短期金融市場で資金を運用しないだろ、という。
しなくていいじゃないかと思うんですけどね、貨幣が潤沢にあるから要らないわけだし。建前としても矛盾してますね。
ただ、「こちらの方が本質かな」と思う記述がほかの部分にあって、これはほかの筆者が書いたのだろうと思うのですが、ゼロ金利政策というのは短資会社の仲介手数料を引くとほぼゼロになる金利、という意味なんですね。
つまり、0.1%でも金利がついていないと、短資会社の手数料が減ってしまうということですわな。
で、短資会社には日銀の天下りが多数、っと。
浜田宏一イェール大学教授憂国のインタビュー第3回 聞き手:高橋洋一() | 現代ビジネス | 講談社(4/7)
超過準備への付利は、かの有名な白川正明氏が総裁になった年に、リーマンショックの直後に導入された政策なんですが、白川氏を蛇蝎のごとく嫌うリフレ派もまた超過準備への付利撤廃に消極的とはこれ如何に。
白川氏の政策であっても、「内容が良ければ」賛成するということなんでしょうか。